ファブラボのDNAを継承する“小さな工場”が東京・千代田区に誕生:3Dプリンタニュース
ファブラボ神田錦町とデザイニトは、都市型マイクロファクトリー「錦町三丁目工場」を創業した。3Dプリンタをはじめとするデジタルファブリケーション技術を活用した少量多品種生産を実現し、独創的なデザインとカスタマイズ性を兼ね備えた製品の生産を支援する。
ファブラボ神田錦町とデザイニトは2025年8月29日、都市型マイクロファクトリー「錦町三丁目工場」(東京都千代田区)を創業したと発表した。
従来の金型を使用した大量生産ではなく、3Dプリンタをはじめとするデジタルファブリケーション技術を活用した少量多品種生産を実現する。デザイン事務所、ファブラボ(技術)、製造工場が一体化し、シームレスに統合することで、アイデアを迅速かつ効率的に製品化することが可能となり、市場の変化にも素早く対応できるという。
同時に、錦町三丁目工場では、廃プラスチックの再利用プログラムを独自に開発、導入し、廃棄物の削減と資源の効率的な利用を促進するなど、環境に配慮した製造プロセスの実現を目指している。また、同プログラムを通じて廃プラスチックを新たな製品へと再生することで、環境負荷を低減し、循環型社会の実現に貢献する。
その他、さまざまな国や地域の工場と連携したモノづくりも支援している。例えば、長崎県波佐見町の磁器製造メーカーとのプロジェクトでは、ファブラボ神田錦町が企画/プロトタイピングを担当し、波佐見焼の製品を開発している。
オリジナル製品も展開している。第1弾として、錦町三丁目工場の製造技術とデザインを融合したランプシェード「Pleats Series」と「Moire Series」を発表した。さらに、粉末焼結3Dプリント技術を活用し、本物のような質感や色合いを再現した「終わらない花 バラ」などを手掛ける。
今後は、さらなる製品ラインアップの拡充や、デザインと製造の新たなシナジーの追求を通じて、革新的なプロダクトの創出につなげていくという。企業や自治体からのオリジナルデザインのオーダーやロット販売に対応するコントラクト事業を展開し、特定のニーズに応じた製品の提供も行う。
加えて、錦町三丁目工場をファブラボの理念である「自由な創造と試作を支え、まだ見ぬものを生み出す場」を体現する拠点として位置付け、同工場に集う人たちの多様なアイデアやニーズから革新的なプロダクトを実現し、世に送り出すことを目標に掲げている。
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