DMG森精機が工程集約を加速させる複合加工機シリーズの第3世代投入:工作機械
DMG森精機は、複合加工機「NTXシリーズ」の第3世代となる「NTX 1000/2000/2500/3000 3rd Generation」を発売した。新技術に加えて、熱変位抑制機構やフルクローズドループ制御を標準搭載するなど、加工精度と生産性を大幅に向上させた。
DMG森精機は2025年9月3日、複合加工機「NTXシリーズ」の第3世代となる「NTX 1000/2000/2500/3000 3rd Generation」の4機種の販売を開始したと発表した。新技術や従来オプションだった機能を標準搭載しており、さらなる高精度と高生産性を実現する。
NTXシリーズは、ターニングセンタとマシニングセンタで行っていた加工を1台に工程集約する複合加工機だ。2010年に発売され、航空宇宙や医療、エネルギー、EV(電気自動車)、金型、半導体、精密機械など幅広い業界に導入された。
NTX 3rd Generationでは、400V化し加工能力が高まった高剛性主軸「turnMASTER」を左主軸、右主軸の両方に搭載できる。全長350mmのターンミル主軸、「compactMASTER」は、最大毎分2万回転の高速/高トルク加工が可能だ。「turretMASTER」のミーリング切削能力も向上している。全軸フルクローズドループ制御(スケールフィードバック)と機体冷却水循環による徹底した熱変位抑制を標準装備し、切削能力と精度が大幅に向上した。
ユーザーインタフェースの「ERGOline X with CELOS X」は、タッチパネル式画面とキーボード入力が融合しており、直感的な操作で簡単にセッティングできる。また、機械本体や組み込みソフトウェアなどを組み合わせて提供するDMG森精機のテクノロジーサイクルを活用することで、従来は専用機を使用していたギヤ加工や研削加工といった加工工程や、3次元測定機を使用していた計測工程についてもNTX 3rd Generationの1台に集約可能だ。
その他、加工機内に切りくずがたまりづらく耐久性に優れたステンレスカバー、スラッジと混入油を効率的に回収する立型大容量クーラントタンク「zero-sludgeCOOLANT pro」、加工時に発生するミストを効率的に捕集する「zeroFOG」などのソリューションを標準搭載している。電波信号伝達方式タッチセンサーによる機内計測は、繰り返し精度0.25μm以下を実現した。
工具マガジンは最大246本まで収納でき、工具段取りに必要な全ての操作が可能なマガジン操作パネルや、チャックの把握力を操作パネルから指定できるNC-CLAMPを標準搭載。モジュール式のロボットシステム「MATRIS」や、人との協働が可能な「MATRIS Light」、工場内物流を自動化する「WH-AMR」などの自動化ソリューションも利用できる。
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