モバイルでPC級のAI駆動グラフィックスを可能にするニューラルテクノロジー:人工知能ニュース
Armは、Arm GPUに専用のニューラルアクセラレーターを追加するニューラルテクノロジーを発表した。ゲームなど、負荷の高いモバイルコンテンツでのGPUワークロードを最大50%削減できる。
Armは2025年8月13日、Arm GPUに専用のニューラルアクセラレーターを追加するニューラルテクノロジーを発表した。グラフィックスレンダリングにおけるGPUのパフォーマンスが向上し、ゲームなど負荷の高いモバイルコンテンツでのGPUワークロードを削減できる。
また同社は、AI(人工知能)を活用したレンダリングを既存のワークフローに統合した、パブリック提供ニューラルグラフィックス開発キットを発表した。
開発キットはモバイルゲーム向けに設計されており、AI駆動のグラフィックスを統合したり、カスタマイズしたりするための機能を持つ。例えば、Unreal Engine向けプラグイン、PC上で動作するVulkanエミュレーション、プロファイリングツール、GitHub/Hugging Faceのオープンモデル、Vulkan用のArm ML(機械学習)拡張機能などだ。
これらの機能をフル活用して動作する、同社のAIベースグラフィックスアップスケーリングエンジン「Neural Super Sampling(NSS)」は、540pから1080pへのアップスケーリングをフレーム当たり4ミリ秒で実行する。従来手法と比べてGPUワークロードを最大50%削減できるため、削減分をフレームレートやビジュアルの品質向上、消費電力の低減に再配分できる。
同社は今後、ハードウェアの提供に先駆けて、2026年にレンダリング負荷を抑えてフレームレートを倍増させる「Neural Frame Rate Upscaling」や、モバイルでのリアルタイムパストレーシングを可能にする「Neural Super Sampling and Denoising」を提供する。
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