AIデファインドビークルに向けた演算プラットフォームを発表:車載ソフトウェア
Armは、AIデファインドビークルに向けた演算プラットフォーム「Arm Zena CSS」を発表した。自動車開発向けに標準化して統合したプラットフォームで、安全性を確保しつつ、ハードおよびソフトの開発期間を短縮する。
Armは2025年6月4日、AI(人工知能)デファインドビークルに向けた演算プラットフォーム「Arm Zena CSS」を発表した。
Zena CSSは、Armv9 Automotive Enhanced(AE)技術に基づいて標準化および統合検証した、拡張性に優れるプラットフォームだ。高い安全性を確保しつつ、ハードウェアおよびソフトウェアの開発期間を短縮する。
16コアのCortex-A720AE CPUやリアルタイム処理向けCortex-R82AE、セキュリティを強化するArm TrustZone技術などを搭載。IVI(車載インフォテインメントシステム)や中央演算、レベル2のADAS(先進運転者支援システム)用途に対応する。
従来のIPによる設計と比べてシリコン開発工数を最大20%削減し、ソフトウェアの標準化によりプラットフォーム間の移植工数を最大30%削減できる。同社のパートナー企業となるCadence、Siemens、Synopsysなどは、Zena CSSに対応する仮想プラットフォームを発表しており、安全面でのより重要な領域を含めてシリコンを入手する前の早い段階から、ハードとソフトの共同設計を早期に開始できる。これにより、最大2年の開発期間短縮が見込める。
Zena CSSはSOAFEEと連携しており、Autowareやデンソー、パナソニック オートモーティブシステムズなどSOAFEEコミュニティーへの参加企業が開発するブループリントに対応している。また、Armの認証およびコンプライアンスプログラム「Arm SystemReady」と業界標準APIにより、SOAFEEブループリントはZena CSS上でシームレスに動作する。
なお、2025年末にはArm SystemReadyの新しい車載用拡張機能が提供される予定。これにより、異なるハードウェア環境でも、車載用途向けのOSとソフトウェアスタックへの移行が容易になる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
パナソニックオートはSDV対応のソフト開発環境を業務に、今後はHPCへ
パナソニック オートモーティブシステムズは「人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA」において、クラウドネイティブなソフトウェア開発の取り組みを発表した。自動車メーカーが実現を目指すSDVへのニーズに応える。車載マイコンで快走のインフィニオン、なぜRISC-Vを採用するのか
インフィニオン テクノロジーズ ジャパンは、足元の車載マイコンの事業状況や、新たに採用を決めたオープンソースのプロセッサコアであるRISC-Vの開発体制などについて説明した。新車開発期間を2年短縮、Armの最新IPをバーチャル試作で利用可能に
Armは自動車開発向けのバーチャルプラットフォームを発表した。同社のAutomotive EnhancedプロセッサのIPを使用したバーチャルプロトタイピングにより、半導体の生産を待つことなくソフトウェア開発に着手できる。開発期間は最大で2年短縮可能だという。パナソニックがArmと自動車の「ソフトウェアファースト」を推進
パナソニック オートモーティブシステムズとArmはソフトウェアデファインドビークルのアーキテクチャ標準化を目指す戦略的パートナーシップに合意した。ソフトウェア定義自動車の標準化へ、Armが支えるSOAFEEの活動が本格化
ArmプロセッサをベースにSDV(ソフトウェア定義自動車)の標準化を進めるSOAFEEが、2021年9月の立ち上げから2年を迎えた。SOAFEEの活動を支援するArmのオートモーティブ事業部門の担当者に、現在の活動状況について聞いた。ソフトウェアファーストでオープンな開発環境にArmが名乗り、「SOAFEE」発表
Armは2021年9月16日、オンラインで説明会を開き、クラウドベースでの車載ソフトウェアの開発を推進するオープンなアーキテクチャ「Scalable Open Architecture for Embedded Edge(SOAFEE、ソフィー)」を発表した。