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2025年上期の新車生産は2年ぶりにプラス、稼働停止の反動増で自動車メーカー生産動向(1/4 ページ)

日系自動車メーカーの2025年上期の自動車生産は、前年の型式指定の認証不正問題やリコールによる稼働停止の反動増があった一方で、中国市場の競争激化や東南アジアの経済低迷など、メーカーによって明暗が分かれた。

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 日系自動車メーカーの2025年上期(1〜6月)の自動車生産は、前年の型式指定の認証不正問題やリコールによる稼働停止の反動増があった一方で、中国市場の競争激化や東南アジアの経済低迷など、メーカーによって明暗が分かれた。

 日系乗用車メーカー8社の2025年上期の世界生産合計は、わずかながら2年ぶりに前年同期の実績を上回った状況だが、実績の水準自体は高くないと言えそうだ。これは、ばね部品などを手掛ける中央発條で爆発事故が発生して部品供給が滞り、一部メーカーで稼働停止を余儀なくされたことなども影響した。

 さらに、日系メーカーの主戦場である米国ではトランプ政権による追加関税が発動。これを受けて輸出を含めたグローバルでの車両供給網の再点検などの動きが活発化しており、自動車メーカー各社の今後の戦略に注目が集まっている。

→「自動車メーカー生産動向」のバックナンバーはこちら

 2025年上期の世界生産の8社合計は、前年同期比0.6%増の1193万9512台だった。前年実績を上回ったのはトヨタ自動車、ダイハツ工業、SUBARU(スバル)の3社。このうち国内生産は、同7.2%増の396万5521台で、2年ぶりのプラス。国内生産でも世界生産と同じくトヨタ、ダイハツ、スバルの3社が前年実績を上回った。中央発條の爆発事故による部品供給の停止などがマイナス要因となったものの、前年は、型式認証に関する不正問題の他、能登半島地震による部品供給の混乱などによる稼働停止や生産調整が発生した反動増が表れた。

 海外生産は、前年同期比2.3%減の797万3981台と2年連続のマイナスとなった。トヨタ、スズキ、マツダを除く5社が前年割れだった。北米は堅調な需要やハイブリッド車(HEV)販売が好調だったが、前年が半導体供給の回復で高水準なこともあり同0.4%減と微減となり、3年ぶりのマイナスだった。中国も依然として続く市場の電気自動車(EV)シフトと現地メーカーによる価格競争の激化を受けて同6.1%減と4年連続のマイナスだった。東南アジアも、主要市場のタイが経済低迷やローンの厳格化などで市場が冷え込んだ。

2025年上期(1〜6月)の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 1,639,637 3,278,387 1,143,965 725,816 4,918,024
8.7 4.4 5.7 12.3 5.8
ホンダ 326,141 1,410,240 817,736 317,257 1,736,381
▲ 2.1 ▲ 8.9 ▲ 2.0 ▲ 23.1 ▲ 7.7
スズキ 460,096 1,190,847 - - 1,650,943
▲ 11.4 2.9 - - ▲ 1.5
日産 291,773 1,147,267 586,071 267,796 1,439,040
▲ 11.1 ▲ 10.8 ▲ 6.5 ▲ 20.9 ▲ 10.8
ダイハツ 365,949 349,038 - - 714,987
147.9 ▲ 8.3 - - 35.4
マツダ 349,154 224,716 163,329 39,012 573,870
▲ 5.3 0.6 5.0 3.9 ▲ 3.1
スバル 293,173 174,679 174,679 - 467,852
15.6 ▲ 11.7 ▲ 11.7 - 3.6
三菱自 239,608 198,807 - - 438,415
0.0 ▲ 12.9 - - ▲ 6.3
合計 3,965,531 7,973,981 2,885,780 1,349,881 11,939,512
7.2 ▲ 2.3 ▲ 0.4 ▲ 6.1 0.6
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計

6月の状況は

 6月単月の8社合計の世界生産は、前年同月比3.3%増の199万5876台と2カ月ぶりに増加した。トヨタの好調やダイハツの回復が主な要因で、トヨタ、日産自動車、ダイハツ、スバル、三菱自動車が前年実績を上回った。

 このうち国内生産は前年同月比5.2%増の69万433台と2カ月ぶりのプラスで、トヨタ、ホンダ、ダイハツの3社が増加した。海外生産も、同2.3%増の130万5443台と3カ月ぶりにプラスへ転じた。トヨタ、日産、スバル、三菱自の4社が前年実績を上回った。北米が同2.8%増と2カ月ぶりのプラスだった他、競争の激しい中国が17カ月ぶりにプラスへ転じた。これはトヨタやマツダが新型車で復調したことに加えて、長らく続いていた低迷が一巡したことも要因となった。

2025年6月の国内乗用車メーカーの生産実績
国内 海外 (うち北米) (うち中国) 合計
トヨタ 273,438 581,127 191,562 145,707 854,565
7.6 7.3 10.1 10.8 7.4
ホンダ 60,804 226,979 124,350 59,752 287,783
8.5 ▲ 2.8 ▲ 5.4 4.6 ▲ 0.6
スズキ 82,971 142,161 - - 225,132
▲ 2.8 ▲ 4.9 - - ▲ 4.1
日産 48,979 204,089 93,239 56,124 253,068
▲ 4.1 4.5 2.7 4.2 2.7
ダイハツ 72,810 50,799 - - 123,609
44.0 ▲ 11.4 - - 14.5
マツダ 60,930 34,922 23,491 7,446 95,852
▲ 8.4 ▲ 3.7 ▲ 4.1 30.7 ▲ 6.7
スバル 53,946 30,952 30,952 - 84,898
▲ 0.7 2.6 2.6 - 0.5
三菱自 36,555 34,414 - - 70,969
▲ 5.1 12.0 - - 2.5
合計 690,433 1,305,443 463,594 269,029 1,995,876
5.2 2.3 2.8 7.7 3.3
※上段は台数、下段は前年比増減率。単位:台、%
※北米は、米国、カナダ、メキシコの合計

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