マイクロプラの質量と体積を自動解析できる粒子解析システム発売:研究開発の最前線
島津製作所は、マイクロプラスチック分析に特化した、粒子解析システムの発売を発表した。赤外顕微鏡や赤外ラマン顕微鏡に専用ソフトウェアを組み合わせて使用し、マイクロプラスチックの個数、面積、体積、質量、成分を短時間で算出できる。
島津製作所は2025年8月6日、マイクロプラスチック分析に特化した、粒子解析システムを国内外で発売すると発表した。希望販売価格は1869万円〜(税込み)で、1年間で国内外合わせて150台の販売数量を目指す。
同システムは、既存の赤外顕微鏡「AIMsight」や赤外ラマン顕微鏡「AIRsight」に、専用ソフトウェア「AMsolution」を組み合わせて使用する。顕微鏡で取得したケミカルイメージから、マイクロプラスチックの個数、面積、体積、質量、成分を短時間で算出できる。
専用ソフトウェアには、新開発の粒子解析プログラムを搭載。粒子面積から質量を算出する理論式は、国内17河川で採取した4390個のプラスチック微粒子の測定データから明らかにした、愛媛大学の研究成果に基づいている。質量と体積の自動解析機能は、赤外顕微鏡や赤外ラマン顕微鏡に搭載するソフトウェアとしては世界初になるという(島津製作所調べ)。
また、高速マッピング機能により、粒子がないと判断できる部分は1回のみ測定し、粒子のある部分は積算を複数回実施することで、迅速さと高精度を両立。スペクトルアドバイザー機能が測定したスペクトル(波形データ)と測定事例を照らし合わせ、操作や付属品によるトラブルの改善策を提示する。
マイクロプラスチックは、波や紫外線などで直径5mm以下に砕かれたプラスチック粒子だ。生物が摂取して体内に蓄積することで、生態系全体への影響が懸念されており、分布実態の把握にはプラスチック粒子のデータ解析が必要となる。同社は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)や粒子画像撮影装置などにより、マイクロプラスチックの研究を支援してきた。新製品の追加により、今後も環境調査や研究を支援する。
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