SUBARUが産業用ロボットとPLCのバックアップ電源にマクセル製全固体電池を採用:組み込み採用事例
SUBARUは、群馬製作所の大泉工場において、同工場で使用する産業用ロボットとPLCにマクセルのセラミックパッケージ型全固体電池「PSB401010H」搭載し、テスト運用を開始した。
SUBARU(スバル)は2025年8月18日、エンジン/トランスミッションの生産拠点である群馬製作所の大泉工場(群馬県大泉町)において、同工場で使用する産業用ロボットとPLC(プログラマブルロジックコントローラー)にマクセルのセラミックパッケージ型全固体電池「PSB401010H」搭載し、同月からテスト運用を開始したと発表した。
自動車の製造工程においてFA(ファクトリーオートメーション)を実現する産業用ロボットは、メモリを保護するためのバックアップ用電源の多くに一次電池が搭載されている。通常、一次電池を使用する産業機器については、約1〜2年の期間で定期的な電池交換が必要となり、使用済み電池が産業廃棄物として排出される。
これに対してマクセルのセラミックパッケージ型全固体電池は、10年以上交換不要などの長い電池寿命を特徴としている。今回の全固体電池の採用によって、産業用ロボットやPLCの産業廃棄物排出/メンテナンス工数の削減などを推進する。また、これらの取り組みを通して、SUBARUが目標とするサーキュラーエコノミーの実現を目指すとしている。
マクセルは2021年に硫化物系固体電解質を使用したコイン形の全固体電池を発表して以降、円筒形やセラミックパッケージ型などラインアップを拡充してきた。今回SUBARUが採用したのは、セラミックパッケージ型全固体電池「PSB401010H」を最大5個搭載する産業機器向けのバックアップ用全固体電池モジュールだ。同モジュールは、入力電圧4.0〜24.0V、出力電圧3.6V、出力電流10μ〜10mA。搭載する全固体電池の標準容量は8m〜40mAhで、−10〜85℃の環境温度範囲で使用できる。
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