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ホンダは2025年度の通期見通しを上方修正、関税の影響を精査製造マネジメントニュース

ホンダは2026年3月期第1四半期の決算を発表した。売上収益は前年同期比1.2%減の5兆3402億円、営業利益が同49.6%減の2441億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益が同50.2%減の1966億円で減収減益だった。

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 ホンダは2025年8月6日、2026年3月期第1四半期(2025年4〜6月期)の決算を発表した。売上収益(売上高)は前年同期比1.2%減の5兆3402億円、営業利益が同49.6%減の2441億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益が同50.2%減の1966億円で減収減益だった。

2025年4〜6月期の業績(左)と、事業ごとの販売台数(右)[クリックで拡大] 出所:ホンダ

 二輪事業はブラジルやベトナムでの販売拡大もあって営業利益が1890億円となり、過去最高を達成。価格改定などの効果も142億円のプラス要因となった。四輪事業は関税の影響やEV(電気自動車)に関連する一過性の費用計上が響き、営業損益は296億円の赤字だった。北米の販売が堅調に推移したことがプラス要因となった他、価格改定の効果などで535億円の増益となった。

 四輪事業は中国を中心とするアジアでは販売が減少した。中国系自動車メーカーが進出する地域で苦戦していることに加えて、中国向けのEVも販売が計画を下回っている。また、HEV(ハイブリッド車)を投入しきれていない市場もあり伸び悩んだ。今後はHEVの投入を強化して需要に対応する。

営業利益の増減要因は

 2025年4〜6月期の営業利益の増減要因を見ると、北米での四輪車の販売増加で1091億円、価格改定の効果で685億円といったプラス要因があった。一方で、関税影響で1246億円、米国販売モデルの損失引当や、一部EVモデルの開発終了に伴う開発資産の除却などEV関連の一過性の費用で1134億円などのマイナス要因があり、諸経費や研究開発費の増加も営業利益を減少させた。ただ、EVの一過性の費用や関税の影響を除くと、営業利益は前年同期なみの4821億円だったと試算している。


2025年4〜6月期の営業利益の増減要因[クリックで拡大] 出所:ホンダ
2025年4〜6月期の事業ごとの営業利益増減要因。二輪事業(左)、四輪事業(右)[クリックで拡大] 出所:ホンダ

 ホンダ 取締役 執行役常務の藤村英司氏は「(中国向けEVの)性能は一定の評価を得ているが、値引きが続く市場において当初打ち出した値段はマッチしていなかった。また、知能化も市場の期待に追い付いていなかった。DeepSeekを活用した知能化や、モメンタと協力したADAS(先進運転支援システム)を取り急ぎ展開し、スピード感を持って対応したい」とコメントした。

営業利益の見通しを大幅に引き上げ

 2026年3月期通期(2025年度)の見通しは、関税の影響の精査や為替の想定レートの見直しを踏まえて上方修正した。売上高は前年度比2.7%減の21兆1000億円(前回予想から3.9%増)、営業利益が同42.3%減の7000億円(同40.0%増)、当期純利益が同49.8%減の4200億円(同68.0%増)を見込む。

2025年度の業績見通し(左)と販売台数の見通し(右)[クリックで拡大] 出所:ホンダ

 2025年度通期の営業利益は、前年度の実績から5134億円減少する見込みだ。関税影響で4500億円減、為替影響で3020億円減となるが、販売台数の増加で1060億円増、価格改定の効果などで3500億円増とし、減益要因を和らげる。

 関税の影響額は前回予想の6500億円から4500億円に見直した。想定為替レートは、足元の動向を踏まえて1ドル=135円から140円に変更した。カナダやメキシコから米国への完成車の輸入が関税としては大きな影響を受けるが、日本から米国に輸出していたものを米国に振り向けたり、米国から中米に輸出していたものをカナダに移して米国では現地で販売するモデルを作ったりすることで生産のアロケーションを固めた。

 また、前回の通期見通しを発表した時点では、カナダやメキシコから米国に輸入する部品に対する関税の影響額を確定する余裕がなかったとしている。サプライヤーと協力して部品1点1点の商流を確認し、輸入部品の大半にUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)が適用できることが判明し、それを反映させた。

 売上高も上方修正したが、二輪/四輪ともに販売台数の見通しは据え置いた。二輪事業では欧州や北米での販売減少をブラジルなどその他地域の増加で補う。

 藤村氏は日米関税への対策として、「日米の関税が25%から15%になったことはポジティブに受け止めているが、詳細は不明点が多い。早期の決定と開示を政府に要望している。グローバルな自由貿易が各国の自動車産業の競争力となり、各地に良い商品を届けられることが望ましいが、2.5%から15%に上がることがニューノーマルになるのであればそれに合わせた考え方にしていかなければならない。米国での現地生産率は60〜70%ですでに高いが、2交代を3交代にするなど稼働率を高めていく取り組みは引き続きやっていく。HEVは基幹部品が日本から運ばれている。いかに現地化していくかがポイントになる。サプライヤーにも追従してもらいたいので慎重に協議していく」と説明した。

2025年度の営業利益の増減要因。対前年度比(左)、前回予想との比較(右)[クリックで拡大] 出所:ホンダ

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