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複数機器が共同で学習や制御を行う「協調制御AI」に関する特許を取得:人工知能ニュース
エイシングは、複数機器が共同で学習や制御を行う「協調制御AI」に関する特許を取得した。製造業やエネルギー、スマートインフラなど大規模かつ複雑なシステムの効率運用や省エネへの応用が期待できる。
エイシングは2025年7月16日、複数機器が共同で学習や制御を行う「協調制御AI」に関する特許を取得したと発表した。製造業やエネルギー、スマートインフラなど大規模かつ複雑なシステムの効率運用や省エネへの応用が期待できる。
同技術は、マルチエージェント強化学習をベースに、システム全体を複数のAI(人工知能)エージェントが分散制御しながら協調動作する仕組みだ。局所的な情報をもとに判断しつつ、システム全体の最適化を図ることが可能になる。新たな機器追加時には、その機器専用のAIエージェントを追加学習するのみで即時対応でき、従来のようなシステム全体の再設計が不要になる。
実証として、マルチエージェント強化学習の代表的ベンチマークタスク「Simple Spread」で単独制御AIと比較したところ、同社の協調制御AIは最終報酬で39%の性能向上を達成した。これはAIエージェント同士が衝突を避けつつ効率的に目標領域をカバーする戦略を早期に形成した成果だ。
協調制御AIの適用例としては、化学プラントやデータセンターの冷却、電力アグリゲーション制御などを挙げている。その導入により、制御の最適化とエネルギー効率の向上の両立が可能になると見込まれる。
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