ニュース
核融合炉心プラズマの制御にエンドポイントAIを活用、応答速度1ms以下に対応:人工知能ニュース
制御AI技術を研究開発するエイシングは、核融合技術の進展のため、核融合科学研究所との共同研究を開始した。プラズマの制御技術を確立し、安定した核融合技術の実現を目指す。
エイシングは2023年7月26日、核融合技術の進展のため、核融合科学研究所との共同研究を開始したと発表した。
同社はこれまで、エンドポイントAI(人工知能)と呼ばれるデバイス上で学習と推論の両方が可能なAIを開発し、提供してきた。同社のAIは、マイクロ秒からミリ秒での推論が可能な高速性を持つため、応答速度が1ms以下という、急速に変化するプラズマ挙動の予測が可能だ。
従来の制御技術では、瞬間的に系が変化するプラズマの状態を予測し、安定的に制御することは困難だった。そこに、エイシングの制御AI技術を活用することで、動的環境変化に対してリアルタイムに高速で追従し、安定した核融合技術の実現を目指す。また、核融合科学研究所が有する巨大な計測データや大型ヘリカル装置LHDなどの研究リソースを活用し、研究の進展を図るとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 困難だった「汎用マイコンで深層学習」を実現、Cortex-M4で画像認識も可能に
AIスタートアップのエイシングが発表した「AiirDNN」は、これまで極めて困難と考えられてきた「汎用マイコンで深層学習」を実現した。その技術の詳細や性能などについて、同社 社長の出澤純一氏に聞いた。 - エイシングがエッジAIパートナープログラムを設立、ルネサスやNXPと提携
エイシングは、同社独自のエッジAIパートナープログラムを設立した。組み込みエッジAIの共同プロモーションを展開するもので、ルネサス エレクトロニクスおよびNXPジャパンをパートナー企業に迎えている。 - Cortex-M0+マイコンで動作する軽量エッジAI、オンプレミスの開発環境を提供
エイシングは、同社の軽量エッジAIアルゴリズム「MST」などを用いたAIモデルをオンプレミスで構築できる開発環境「AiiR On-premises β版」を発表した。同日から募集しているモニター企業5社を対象に順次提供を開始する。 - 超軽量エッジAIアルゴリズムをWeb上で試用できる開発環境をリリース
エイシングは、AIモデルを構築するための開発環境「AiiR Cloud β版」をモニター企業へ順次展開する。超軽量エッジAIアルゴリズム「MST」を試用可能で、モデルの性能評価や活用イメージの具体化を支援する。 - マイコンでCBMを実現する異常検知アルゴリズム、逐次学習による高精度化も
エイシングは、機器の状態を監視しながらメンテナンス時期を決定するCBM向けの異常検知アルゴリズム「MSAT++」を開発したと発表した。モデルサイズは数KBと省メモリであるとともに、正常データからモデルを構築しての異常検知が可能で、逐次学習によりモデルの精度を向上できることなどが特徴となっている。 - 経年劣化にも対応する「リアルタイム学習AI-PID制御」、エイシングが特許取得
エイシングは、PID制御を飛躍的に高度化できる「リアルタイム学習AI-PID制御」に関する特許を取得したと発表した。PID制御にAIアルゴリズムに基づく予測器を組み合わせる「AI-PID制御」に対して、制御対象の経年劣化などによって起こり得るAIアルゴリズムの予測精度低下を防ぐための追加学習を行える仕組みが特許取得の対象となる。