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組み込み機器向けに時系列データの類似度判定ソフトを開発:人工知能ニュース
エイシングは、DTWアルゴリズムを用いた類似度判定ソフト「AiirDTW」を開発し、評価版をリリースした。センサーの時系列データを解析し、パターンマッチングで登録済みパターンの類似波形を検出する。
エイシングは2023年9月5日、DTW(Dynamic Time Warping)アルゴリズムを用いた類似度判定ソフト「AiirDTW」の評価版を発表した。時系列データのばらつきを吸収しつつ、パターンマッチングができる。
DTWは、パターン類似度を算出するアルゴリズム。AiirDTWは、DTWを簡単に利用できるようにするために開発したソフトウェアだ。
例えば、組み込み機器でAiirDTWを使用する場合、センサーからの入力データを解析してデータの傾向を把握したり、異常発生の有無を確認できる。検知したい波形パターンをあらかじめ登録可能で、それらの波形と入力波形の類似度、振幅や位相のずれ、間延びなどを判定し、高精度なパターンマッチングができる。
工場など騒音が発生している環境でも、登録波形と似た特定の入力波形を判別できる。他に、検査工程における製品や荷物の異常の判別、センシングデータの信号強度の判別によるセンサーの劣化検知などでの利用を想定している。
同社はこれまでに「AiiR(AI in Real Time)」シリーズとして、機械制御向けAI「MEMORY SAVING TREE」、異常検知向けAI「MSAT++」、画像認識AI「AiirDNN」などをリリースしている。AiirDTWは、類似度判定向けAIとして、新たにAiiRシリーズに追加された。
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