キヤノン露光装置新工場は部品搬送を徹底自動化したスマートファクトリーに:スマートファクトリー(2/2 ページ)
キヤノンは宇都宮事業所内に建設した半導体製造装置の新工場の開所式を行った。
御手洗氏「新工場は新たな成長領域へと軸足を移す経営戦略の大転換」
2026年6月に完成予定のレンズ加工エリアは1万4629m2。現在レンズの加工を行っている、宇都宮光学機器事業所から移管する機械も含めて約150台の設備を並べ、半導体露光装置の心臓部と呼ばれる投影光学系に内蔵される大小さまざまな平面レンズや球面レンズ、非球面レンズを粗削り、研削から成膜までの加工を行う。本格稼働は2027年の予定だ。レンズ加工エリアでも搬送ロボットを使い、工程間の搬送を自動化する。
【訂正】キヤノンからの申し入れにより当初公開していた画像の一部を変更しました(2025年8月4日16時17分)。
半導体市場は、AI(人工知能)向け最先端デバイスや先端パッケージ市場がけん引する現在の市況が当面継続すると見込まれる。
キヤノン 代表取締役会長 CEOの御手洗冨士夫氏は「今や半導体は現在の生活を支える基盤技術として不可欠な存在となっており、需要はさらに拡大し、重要性も一層高まる。半導体分野はキヤノンにとっても今後の成長をけん引する重要な領域であり、新工場の設立は新たな成長領域へと軸足を移すわれわれの経営戦略の大転換を象徴するものだ」と述べる。
キヤノンは「半導体製造における規模、領域、アプリケーションの拡大」を事業戦略に掲げている。
キヤノン 専務取締役 インダストリアルグループ管掌の武石洋明氏は新工場について「まずキャパを作るというのが前提だ。既存の工場もさまざま取り組みを重ねて、生産効率を上げ、リードタイム短縮などを図ってきたが、2030年に向かって半導体市場が伸びていくであろう中で、生産能力の拡大は大きな課題だった。広い工場で効率的に製品を流し、リードタイムを縮め、在庫を削減し、それが結果としてユーザーにタイムリーに製品を届ける原動力になる」と語る。
新工場が本格稼働すれば、2024年と比べて生産能力は1.5倍に高まる。年間300台超の販売体制を支える生産体制を構築する。
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