乳化剤やフッ素系の重合溶媒不使用のフッ素ゴムを開発 独自技術で実現:材料技術
AGCは、フッ素ゴム「AFLAS FFKM」シリーズの新たなグレードとして、製造時に乳化剤やフッ素系の重合溶媒を一切使用せずに生産したSFグレードを2025年7月に発売する。
AGCは2025年7月18日、フッ素ゴム「AFLAS FFKM」シリーズの新たなグレードとして、製造時に乳化剤やフッ素系の重合溶媒を一切使用せずに生産したSFグレードを同月に発売すると発表した。
SFグレードは、半導体製造装置を対象としたAFLAS FFKMシリーズの高耐熱グレードだ。従来品と同等の性能を持ちつつ、乳化剤だけでなくフッ素系の重合溶媒などを使用しないフッ素ゴムへの市場ニーズの高まりに対応したもので、独自のポリマー製造技術「Surfactant-Free & Fluoro Solvent-Free Technology」を活用することで実現した。今後は、AFLAS FFKMシリーズの他のグレードにもSurfactant-Free & Fluoro Solvent-Free Technologyを展開する予定だ。
AFLAS FFKMは、フッ素ゴムの中でも高い耐薬品性、耐熱性、耐プラズマ性を持つ産業用ゴムで、過酷な環境でも劣化しにくい特性を持っている。そのため、半導体製造、石油掘削、ヘルスケアなど、高い耐久性が要求される分野で、シーリング材やO(オー)リングとして幅広く使われている。中でも半導体製造工程の1つであるエッチング工程では、高い耐プラズマ性を有するAFLAS FFKMのニーズが高いという。さらに、劣化しにくい特性からエッチング装置のシーリング材料として使用されており、装置のメンテナンス間隔の延長と安全性の向上に貢献している。
従来、高性能なFFKMの製造には、乳化剤やフッ素系の重合溶媒が必要だった。これらの乳化剤や重合溶媒により、フッ素系モノマーの反応性が高まり、高性能なFFKMの製造が可能になる。しかし近年、半導体用途を中心に、乳化剤だけでなくフッ素系重合溶媒を使用しない製品へのニーズが急速に高まっている。そこで、AGCは今回の技術を開発し、新製品を開発した。
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