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ナノイー技術が寝具表面から1cmにあるダニアレルゲンを抑制:医療技術ニュース
パナソニックは、ナノイー技術が、寝具表面から1cmの深さに存在するダニアレルゲンを抑制することを実証した。ダニアレルゲンによるかゆみや炎症に関与する免疫反応も抑えることを細胞レベルで確認した。
パナソニックは2025年6月24日、ナノイー(帯電微粒子水)技術が、寝具表面から1cmの深さに存在するダニアレルゲンを抑制することを実証したと発表した。麻布大学との共同研究で、ダニアレルゲンによるかゆみや炎症に関与する免疫反応も抑えることを細胞レベルで確認した。
寝具表面から1cm以内の深さにあるダニ由来のアレルゲンは、睡眠を妨げる一因とされている。特に、ダニが好む多湿環境となる6〜8月は、増殖量がピークを迎える。
今回の検証では、枕モデルの表面から1cmの深さにダニアレルゲンを投入し、6畳相当の試験空間に設置してナノイーを一定時間放出した。その結果、枕モデル内のダニアレルゲンは、99%以上が抑制された。
次に、ナノイーを一定時間照射したダニアレルゲンを、上皮細胞などに添加して炎症やかゆみに関与する細胞の活性度を確認した。その結果、上皮細胞と肥満細胞で過剰な活性化が抑制され、上皮細胞と樹状細胞で炎症物質の産生が抑制された。
樹状細胞では、アレルゲンの情報を伝える細胞膜抗原の発現が抑制された。このことから、ナノイーによって過剰な免疫反応が抑制されることが分かった。
ナノイーは、髪の毛の10万分の1となるナノサイズの粒子だ。ナノイー技術により、寝具に潜むダニアレルゲンの抑制と炎症やかゆみに関係する細胞活性度の抑制を実証したことで、ナノイーが睡眠環境の質に寄与する可能性が示唆された。
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