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自動ベースライン調整機能で次世代材料の開発効率を向上する熱分析装置:研究開発の最前線
リガクは、熱分析装置「STAvesta」のグローバル販売を開始した。自動ベースライン調整機能「FlatBlank」が作業時間を大幅に削減するほか、自己診断機能「vestaeye」で、装置の状態を常時モニタリングできる。
リガクは2025年7月1日、熱分析装置「STAvesta」のグローバル販売を同日に開始したと発表した。さまざまな材料分析に対応し、特に高機能材料、複合材料の開発分野での活用が期待される。
STAvestaは、自動ベースライン調整機能「FlatBlank」により、従来の手動調整と比べて作業時間を大幅に削減する。調整後はそのまま測定できるため、作業効率の向上に寄与する。中でも多数のサンプルを取り扱う現場で、顕著な効果が期待できる。
目的や測定条件に応じて7種類(販売国によっては6種類)の電気炉に対応し、容易に交換できる。測定中のサンプルをリアルタイム画像で観察できる機能も備える。
また、自己診断機能「vestaeye」により、装置の状態を常時モニタリングできる。測定前の装置について正常に動作するかの確認が可能になり、貴重なサンプルのロスをなくせる。
優れた温度制御機能も備える。設定した温度プログラムに従ってサンプルを加熱、保持できるため、狙った反応が起こりやすくなり、より安定した測定ができる。
オートサンプルチェンジャーの数は、28個だった前世代品から最大52個に増加した。搬送スピードは約2.3倍となり、1000回連続測定に対応する。また、省スペース設計で、オートサンプルチェンジャーを取り付けた場合も、設置面積は従来品と変わらない。
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