設計図面を扱う製造業従事者の約9割が「属人化」を認識:メカ設計ニュース
New Innovationsは、業務で設計図面を扱う機会がある製造業従事者を対象に「AI活用と設計図面管理についてのアンケート」を実施し、その結果を発表した。約9割が設計業務の属人化を認識していた。
New Innovationsは2025年6月30日、「AI(人工知能)活用と設計図面管理についてのアンケート」を実施し、その結果を発表した。約9割が設計業務の属人化を認識していることが明らかになった。
対象は、普段の業務で図面を扱う機会がある製造業従事者200人。「現在、業務でAIツールを活用しているか」と尋ねたところ、「活用している」が32.0%、「一部の部署で活用している」が27.5%となり、6割がAIを活用していることが判明した。また、「活用を検討している」という回答も14.0%あり、7割以上がAI活用を実践しているか、次のステップに進もうとしている段階であることが分かった。
「AIを活用している業務領域」は、「設計、開発」が52.9%、「文書、報告書作成」が45.4%、「生産計画」が37.0%となった。
現在AI活用をしている層を対象に「業務で今後AIを活用したい業務領域」を尋ねたところ、「設計、開発」が53.8%、「見積作成」が37.8%、「品質管理、検査」が35.3%と続いた。一方、AIを活用していない層では「特になし」が45.7%と最も多く、活用に興味がない、またはメリットを理解していないと推測される。
AI導入の障壁を尋ねたところ、「導入コストが高い」が44.3%で最も多く、「社員のリテラシー不足」が36.8%、「活用できるデータの整備が難しそう」が35.9%と続いた。
「図面検索時に感じている課題」では、「図面にひもづく情報が確認できない」が34.0%と最も多く、「ファイル名や命名ルールが統一されていない」が32.0%、「類似図面が見つからない」が27.0%だった。
「過去図面を再利用(活用)できているか」と尋ねたところ、6割が過去図面を再利用できていた。「過去図面を再利用できていない理由」は、「管理場所がバラバラ」が36.3%、「過去の設計意図が共有されていない」が32.5%、「ファイル名、命名ルールが統一されていない」が27.5%だった。
「設計業務において、特定の人の経験や知識に依存していると感じることがあるか」と尋ねたところ、「非常によくある」が35.0%、「ときどきある」が50.5%で、合わせて約9割が属人化を感じていることが判明した。
今回の調査から、製造業におけるAI活用は広がりを見せている一方で、社内データの未整備が大きな壁となっていることが判明した。図面を再利用できていない企業は、設計ノウハウの属人化や、熟練者の退職による情報のブラックボックス化といった構造的な課題もある。
これらの課題解決のためには、AIがデータを扱える状態にすることで、業務効率化、技術の継承、設計の標準化といった課題を同時に解決することが見込める。
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