ついにAIが設計を主導するように 次世代eバイク開発で本格運用:メカ設計ニュース
ENNEは、次世代eバイク開発を加速する独自のAIシステム「ENNE AI LAPLACE ZERO」を発表した。既にフラグシップモデル「T600GR」の開発で採用しており、今後発売される全てのENNE製品の開発プロセスで同システムを全面導入する方針だ。
電動モビリティを手掛けるENNEは2025年6月11日、次世代eバイク開発の中核を担う独自のAI(人工知能)システム「ENNE AI LAPLACE ZERO」を発表した。
同システムは既に、同社のフラグシップモデルである「T600GR」の開発にも活用されており、今後発売される全てのENNE製品の開発プロセスにおいて全面的に導入する方針である。
「走る前に全てを学習し尽くした設計」を実現
ENNE AI LAPLACE ZEROは、同社の車両設計チームとAI研究チームが共同で開発した、電動モビリティ専用のAIプラットフォームだ。従来の人間中心の設計に加え、実走行データ、部品特性、空力解析、路面環境情報などをリアルタイムで学習/解析し、最適な車両の設計仕様を自動で提案。「『走る前に全てを学習し尽くした設計』を実現できる」(プレスリリースより)という。
同システムを活用することで、モーターやバッテリー、ギア比、発電機の負荷特性などを複合的に解析し、坂道性能や航続距離、エネルギー効率を最大化できる。また、路面摩擦係数や勾配、気温、荷重条件などを加味した登坂シミュレーションも実行でき、登坂性能の精密な予測が可能だ。
さらに、ライダーの身長や体重、運転姿勢のデータを学習し、人間工学に基づく最適なジオメトリーとサドル/ペダル/ハンドルの設計を自動的に導き出す。走行中の振動特性についてもAIが事前解析することで、乗り心地と静粛性の両立を設計段階から高精度に検討できる。その他、設計段階で部品の寿命を予測でき、長寿命/高信頼性設計につなげられる。また、カーボンフットプリントも試算でき、サプライチェーンにおける環境最適化にも貢献する。
フラグシップモデル「T600GR」の開発で採用 今後の全モデルに適用へ
T600GRは、同システムを採用した初の量産モデルであり、特許取得済みの「ペダル発電機構」や「超高勾配登坂制御」は、AIによる負荷予測とモーターバランス解析によって実現されたものだ。
同社は、今後投入予定の全ての新型モデルにENNE AI LAPLACE ZEROを適用し、市場投入後のデータを逐次フィードバックさせて継続的な性能進化を図る考えだ。これにより、同社が手掛ける次世代eバイクは“進化し続けるプロダクト”へと生まれ変わるという。
なお、同技術の一部はオープンイノベーションとして開放予定であり、サプライヤーやパートナー企業と連携し、業界全体の開発効率および品質向上にも貢献していく構えだ。
(※)本記事は制作段階で生成系AIを利用していますが文責は編集部に帰属します(ITmedia AI倫理ポリシー)。
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