次世代半導体パッケージ向け光剥離プロセス技術を共創 2026年に量産で導入:製造マネジメントニュース
レゾナックは、PulseForgeと次世代半導体パッケージ向け光剥離プロセスに関する戦略的提携に合意したと発表した。
レゾナックは2025年6月27日、PulseForgeと次世代半導体パッケージ向け光剥離プロセスに関する戦略的提携に同年4月に合意したと発表した。
今回の提携では、半導体デバイスの製造工程(前工程)やパッケージング工程(後工程)で、ウエハーなどをガラスなどのキャリアに一時的に固定するプロセスで使う技術を共創する。レゾナックの仮固定フィルムと、PulseForgeの光照射システムを組み合わせることで、半導体パッケージの高い歩留まりと生産性を実現する。
両社は、2026年内にこの技術を量産プロセスへ導入することを目標として提携を推進し、業界トップレベルのコスト効率を目指す。
プロセスの統合や材料の適合性確保でも共創
情報量の増大に対応するため高密度化および高集積化した次世代半導体パッケージは、複数のチップをインターポーザー上に実装する「2.5D」や複数のチップを積層する「3D」といった複雑な構造を採用している。複雑な構造を実現するため、製造プロセスには歩留まりと生産性の向上が求められる。
一方、仮固定材は、ウエハーやチップをガラスなどのキャリアに一時的に接着する。さまざまな環境下で加工プロセスを実施した後、ウエハーやパッケージとともにキャリアから剥離される。そのため、仮固定材は、多様な加工プロセスへの適合や、役目を終えた後の剥離性が必要となる。
PulseForgeは、高いエネルギーを出力できる独自の光照射システムやガラスキャリアを保有している。これにより、ウエハーやパッケージに熱と物理的な負荷をかけることなく、短時間でキャリアから仮固定材を剥離できる。さらに、「すす」のような異物が発生せず、環境負荷の低減にも貢献する。この独自技術は、一般的なレーザー照射による剥離と比べ、高い歩留まりと生産性を実現し、コストの低減に役立つ。
レゾナックは、PulseForgeの光照射システムを用いた光剥離プロセスに適した仮固定フィルムを開発した。同フィルムは、膜厚均一性に優れている他、厚さ20μmの薄型ウエハーにも対応している。ウエハーやパッケージから容易に除去できるため、洗浄プロセスも最小限に抑えられる。レゾナックは光剥離プロセスに関する基本的な方法特許も保有している。レゾナックは、この方法特許において使用される光源製品および当該光源製品を適用したデボンド(剥離)装置について、PulseForgeに対して独占的なライセンスを付与している。
両社は、今回の提携により、アジア、北米、ヨーロッパにおける顧客対応、マーケティング活動を共同で行う。技術面では、プロセスの統合、材料の適合性確保、次世代半導体パッケージ向け光剥離プロセス技術のグローバル展開支援で共創する。
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