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次世代航空機に向けたCFRP高レート生産技術の研究開発を本格化:材料技術
新エネルギー・産業技術総合開発機構は、「航空機向け革新複合材共通基盤技術開発事業」における炭素繊維強化プラスチックの高速大量生産技術に関する研究開発案件を新規採択した。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2025年6月11日、「航空機向け革新複合材共通基盤技術開発事業」における炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の高速大量生産技術に関する研究開発案件を新規採択したと発表した。
同事業では、短時間で安定的な成形が可能な技術のほか、品質や安全性を保証する成形プロセス解析ツール、材料認証に対応したデータ基盤といったニーズを踏まえ、CFRPの高速かつ大量な(高レート)成形プロセスの最適化を図る。研究の実施機関は東北大学。2025年度の予算規模は3億円で、実施期間は2025年度〜2029年度を予定している。
航空機産業では、2035年頃に想定される次期単通路機市場を見据え、次世代航空機の開発が加速している。そのコア技術の1つが、CFRPの高レート生産となる。CFRPは高強度で軽量な複合材料であり、航空機の機体構造に広く使われている。これまでのアルミニウム素材と比べて大幅な軽量化を可能とし、燃料消費量の抑制や環境負荷の低減に大きく貢献するとしている。ただし現在のCFRP製造工程では、成形の安定性に課題がある。
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