日立のCIセクターは事業ポートフォリオ改革に重点、産業向けHMAXで成長をけん引:製造マネジメントニュース(3/3 ページ)
日立製作所は、投資家向け説明会「Hitachi Investor Day 2025」において、コネクティブインダストリーズ(CI)セクターが2025〜2027年度の新規中期経営計画「Inspire 2027」で取り組む事業戦略について説明した。
「最も注力しなければならないのが事業ポートフォリオ改革」
産業分野向けHMAXユースケースとしては、AIを活用した安全ガイダンスにより、定期検査などファシリティO&M(設備の運用保守)の作業効率を倍増させるNVIDIAとの協業事例や、設備故障診断にAIエージェントを組み合わせて診断時間10秒以内、精度90%超を実現したダイキン工業との協業事例がある。ハイブリッド産業の事例に挙げているバイオ医薬や高機能材料でも有力なユースケースが生まれている。
そして3つ目の施策が、統合的でシナジー効果のあるコア事業を強化するための事業ポートフォリオ改革の推進である。コッホ氏は「CIセクターで最も注力しなければならないと考えているのが事業ポートフォリオ改革だ。そのために買収と売却を進める。投資についてはOTもしくはOTに近い分野にフォーカスする」と強調する。実際に、先述のハイブリッド産業向けでは、ディスクリート系のPLC、プロセス系のMES(製造実行システム)やDCS(分散制御システム)などは強化が必要としており、今後M&Aが行われる可能性は高い。また、CIセクターが多くのプロダクトを手掛けていることや、OTにフォーカスするというコッホ氏の方針を考えると、売却の候補になるのは産業用HMAXでシナジー効果を出しにくいプロダクトになるとみられる。
また、モビリティセクターやエナジーセクターにもCIセクターのプロダクトやソリューションを展開し、大きな意味でのOne Hitachiにも貢献していく考えだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
日立は新中計で2027年度の利益率15%も視野、長期ではLumada事業比率を8割に
日立製作所は、2024年度連結業績と2025〜2027年度の中期経営計画「Inspire 2027」について説明。新中計となる「Inspire 2027」の財務KPIでは、売上高の年平均成長率は2024中計と同等の7〜9%を維持しつつ、Adjusted EBITA率で13〜15%を目指す。日立が2025年度からの新体制を発表、CIセクタートップは阿部氏からコッホ氏へ
日立製作所は2025年1月31日、同年4月1日付で行う組織変更と執行役などの役員人事について発表した。日立製作所の成長は「これからが本番」、産業系セクター率いる阿部氏が描く青写真
日立製作所では2022年4月に多様な産業系事業を傘下に収めたCIセクターを設立した。本連載では多彩な事業を抱える日立製作所 CIセクターの強みについて、それぞれの事業体の特徴と、生み出す新たな価値を中心に紹介していく。第1回となる今回は新たにCIセクター長に就任した阿部氏のインタビューをお届けする。祖業を継承する日立インダストリアルプロダクツが目指す“素敵なモノづくり”
日立の製造業としての側面を色濃く残すコネクティブインダストリーズ(CI)セクターに迫る本連載。第2回は、日立の祖業であるモーターの事業を継承する日立インダストリアルプロダクツをクローズアップする。データを生みだすプロダクトの価値をさらに高める、日立産機が描く勝利の方程式
日立の製造業としての側面を色濃く残すコネクティブインダストリーズ(CI)セクターに迫る本連載。第3回は、中量産の産業機器事業を展開する日立産機システムをクローズアップする。日立ハイテクのオーケストレーションが「One Hitachi」の原動力に
日立の製造業としての側面を色濃く残すコネクティブインダストリーズ(CI)セクターに迫る本連載。第4回は、半導体製造装置/計測装置や医用機器/ライフサイエンス機器を主力事業とする日立ハイテクをクローズアップする。インダストリアルデジタルBUが日立全体のケイパビリティーを高める「のりしろ」に
日立の製造業としての側面を色濃く残すコネクティブインダストリーズ(CI)セクターに迫る本連載。第5回は、CIセクターをはじめ日立の“強い”プロダクトを中核とした「トータルシームレスソリューション」の推進役であるインダストリアルデジタルBUをクローズアップする。日立の水・環境BUはユーティリティーにプロセスをつなげグリーンを掛け算する
日立の製造業としての側面を色濃く残すコネクティブインダストリーズ(CI)セクターに迫る本連載。第6回は、上下水道の高度水処理システムや半導体工場のクリーンルームといったユーティリティーソリューションを手掛ける水・環境BUをクローズアップする。