「電動工具でネジ締め」もOK、映像AIが製造現場の手指作業を識別/可視化/分析:製造現場向けAI技術
NECは、製造現場で手指を使った作業状況を映像で記録し、AIによって識別、可視化、分析する「NEC Digital Twin ヒト・作業ログ分析ソリューション」を提供する。
NECは2025年5月21日、製造現場で手指を使った作業状況を映像で記録し、AI(人工知能)によって識別、可視化、分析する「NEC Digital Twin ヒト・作業ログ分析ソリューション」を発表した、同月から提供を開始し、価格は150万円(税別)から。向こう3年間で200件を販売する計画で、今後は海外での提供も予定している。
同社が培ってきた独自の映像AI技術を用いて、現場のさまざまな事象を自動的にデータ化し、デジタル空間上に再現する。作業で使う部品や道具を事前に登録する必要がなく、作業数回分の教師データから、手指を使う細かい作業を高精度に識別して可視化、分析する。
映像を解析して手指の微細な動きを把握し、「モジュラージャックを取る」「マイクをはめ込む」「電動ドライバーでネジを締める」など、数十種類の細かな作業を高精度に識別できる。「ネジをたすき掛けで締める」といった人手作業の順序を記録することで、これまで把握しづらかった作業手順を保証する。作業時間がかかり過ぎた場合や、手順違い、手順漏れといった品質に影響する作業ミスが発生した場合に、リアルタイムにアラートを送る機能も備えている。
さらに、作業者の手の動きを映像で記録してパターン化することで、作業の開始や終了を特定し、サイクルタイムを自動計測する。サイクルごとの作業時間のバラつきを可視化し、時間のかかり過ぎたサイクルの録画をピンポイントで分析。作業の問題を発見することで、生産性改善への手掛かりを得られる。
また、あらかじめ熟練作業者の手の軌跡をお手本として撮影しておき、習熟中の作業者による手の軌跡と比較することで、作業効率の向上に役立てることも可能だ。
グループ会社のNECプラットフォームズの現場で2024年9月に実証実験し、作業状況から問題を発見して改善することで、実証ラインの生産性を4%ほど改善する見込みがあることを確認した。自動車、医療機器、計測機器などの製造現場でも、既に先行導入されているという。
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