NECが既存フォークリフトを後付けで自律遠隔制御対応に、ルート設定も自動化:国際物流総合展2023
NECは「国際物流総合展2023 第3回 INNOVATION EXPO」において、自律遠隔制御対応フォークリフトなどの物流ソリューションを紹介した。
NECは「国際物流総合展2023 第3回 INNOVATION EXPO」(2023年9月13〜15日、東京ビッグサイト)において、自律遠隔制御対応フォークリフトなどの物流ソリューションを紹介した。
NECがNIPPON EXPRESSホールディングスと共同開発した今回の自律遠隔搬制御対応フォークリフトは、既存のフォークリフトにレバー、ハンドル、ペダルを制御するアクチュエーターやカメラ、センサーなどを取り付けることで搬送ルートの自動設計や自律遠隔搬送が可能になる。
スマートフォンなどで撮影した倉庫内の映像データを3D地図化し、それを基にシミュレーションをして、従来のAGF(無人フォークリフト)などで作業者が行っていたルート設定を自動で行う。作業者は、スタートとゴールの位置を決めるだけだ。
倉庫内の自律制御時には、フォークリフトに搭載したカメラやLiDAR(Light Detection And Ranging)から得られたデータと事前に作成した3D地図との相違を、動きがない柱などの特徴点を認識することで周囲の状況を高精度に把握。逐次ルートの見直しを行うことで、稼働中にルート上に障害物が置かれるなど環境の変化が起きても柔軟に対応する。
これら画像認識と制御技術を組み合わせることで、ラックとラックの隙間が狭く、フォークリフトの車体との間隔が1〜2cmしかない隙間も通ることができ、倉庫の格納率向上に貢献する。
安全性と効率を高いレベルで両立させるNECのリスクセンシティブ確率制御技術を活用して、搬送ルート上の障害物や人などへの衝突リスクを把握し、状況に応じてフォークリフトの速度を制限速度内で自動調整する。
全てのフォークリフトのカメラ映像やセンサー情報をクラウドに集約し分析、制御することで、複数拠点にある複数台のフォークリフトの遠隔管理、操作も可能だ。物量や需要に応じて自律制御、遠隔操縦、搭乗操作の切り替えも容易となっている。フォークリフトのメーカーも問わずに対応できる見込みで、2024年の市場投入を予定している。
「われわれは重機の遠隔操縦サービスも提供しており、その技術も応用しながら開発した。将来的にはAGFなどを使った完全な倉庫自動化を検討していても、ユーザーはすぐに大きな投資ができるわけではない。今回のソリューションは、カメラなどを後付けすることで既存のフォークリフトを活用することができる」(NECの説明員)
2台で荷物を挟み込んで搬送する協調搬送ロボットの実機も展示した。天井に付けたカメラで倉庫の状況を把握するため、作業者は荷物をスタート地点に配置するだけで、ロボットが荷物を取りに来て、事前に設定されたルート通りに搬送し、ゴール地点に到着すると荷物をリリースする。
移動できるのはカメラを配置している範囲となる。直線の場合、約4mごとにカメラを設置する必要がある。最大約120kgまで搬送可能でき、移動速度は毎分72m、バッテリーの駆動時間は満充電時で16時間となっている。作業者が横切ってもカメラとロボットのセンサーで検知して安全に停止する。
ドーリー台車やカゴ台車だけでなく、荷物がはみ出ているケースなど、さまざまな荷姿に対応する。「スピードが出ても荷物が不安定にならず、台車が多少変形していても挟むことさえできれば運べる」(NECの説明員)。
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