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深層学習を活用し、眼底画像から個人の血圧や血糖値を推定するAIモデルを公開:医療機器ニュース
国立情報学研究所は、学会主導データベース「Japan Ocular Imaging Registry: JOIR」で収集した画像データを活用し、眼底画像から個人の血圧や血糖値を推定するAIを開発した。Webサイトから無償でダウンロードできる。
国立情報学研究所(NII)は2025年5月12日、学会主導データベース「Japan Ocular Imaging Registry: JOIR」で収集した画像データを活用し、眼底画像から個人の血圧や血糖値を推定するAI(人工知能)を開発したと発表した。
JOIRは、NIIと日本眼科学会、名古屋大学が共同で開発したAIモデルだ。収縮期と拡張期の血圧、血糖値、腹囲、BMIの真値を付与した17〜94歳の眼底写真約13万枚を学習データとし、眼底画像から深層学習を用いて値を推定する。深層学習モデルは「EfficientNet-B7」を使用している。
検証データの眼底画像からAIモデルが推定した値と真値の間の平均絶対誤差は、収縮期血圧が10.34mmHg、拡張期血圧が7.09mmHg、血糖値が8.71mg/dL、腹囲が7.18cm、BMIが2.53だった。既存のAIモデルは160万枚以上の画像データセットを用いているが、JOIRは10分の1以下の学習用画像枚数で同等の性能を達成した。
JOIRのWebサイトから無償でダウンロード可能で、メタボリック症候群のリスク評価を実施する手段としての活用が期待される。
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