新型RAV4の開発でウーブンバイトヨタの「Arene」初採用、SDV本格化へ:車載ソフトウェア(2/2 ページ)
ウーブン・バイ・トヨタはトヨタ自動車が発表した「RAV4」の新モデルの開発に、ソフトウェア開発プラットフォーム「Arene(アリーン)」が初採用されたと発表した。
ウーブン・バイ・トヨタは新型RAV4向けに、Toyota Safety SenseにおけるAI(人工知能)モデルの構築と、それによる周辺認識やドライバーの異常検知の要素技術を開発した。ユーザーインタフェースの改良も担当した。
新型RAV4に搭載する最新のToyota Safety Senseでは、ドライバー異常時対応システムが改良された。走行中にドライバーが急病などで運転の継続が困難になると自動的に車両を減速させ停止する機能だが、今回の改良により、センサーが路肩の退避スペースを検知すると路肩に寄せて停車できるように改良した。高速道路や自動車専用道路で第一走行車線を走行している場合に路肩に寄せられる。
この他に追加された機能としては、急加速抑制がある。障害物の有無にかかわらず、アクセルの踏みすぎや踏み間違いを検知すると加速を抑制する。これまではディーラーオプションとして設定されていた「プラスサポート機能」を改良してToyota Safety Senseの標準装備とした。
PHEVが進化、急速充電への対応も
全面改良された新型RAV4は、180以上の国と地域で順次販売する。日本では2025年度内に発売される予定だ。フルモデルチェンジに当たって、RAV4ならではの走りをさらに追求するとともに、新開発のハイブリッドシステムで加速感を高めたとしている。Areneの採用による知能化も推進した。
新型RAV4はPHEV(プラグインハイブリッド車)とHEV(ハイブリッド車)を用意した。PHEVは最新の第6世代のハイブリッドシステムをベースに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、高出力の充電器にも対応した。エンジンを使わない「EV走行距離」は従来の95kmから150kmまで増やした。フロントアクスルにSiCパワー半導体を採用することで小型化と高効率化を実現するとともに、駆動伝達系の損失低減で燃費を改善したことがEV走行距離拡大に貢献した。高速域でもエンジンを使わずにEV走行が可能だとしている。
フロントアクスルは、SiCパワー半導体の採用により、従来は別体だったDC-DCコンバーターを一体化した。高さは15%、重さは18%低減しながら、出力は12%向上させた。また、DC-DCコンバーターや充電器などの部品のレイアウト移動によって生み出したスペースでバッテリーの搭載容量を増やしている。
PHEVでは最新のハイブリッドシステムと電動ブレーキシステムを組み合わせた他、モーター出力を12%向上させることでRAV4らしい走破性を追求したとしている。V2H(Vehicle to Home)に対応して利便性を向上させた他、急速充電に対応した。出力50kW以上の急速充電を利用すると、30分間で80%まで充電できる。
HEVはトランスアクスルやパワーコントロールユニット、電池などの改良により、モーターの出力を向上させている。シームレスな加速感、軽やかな出足とダイレクトな駆動力のレスポンスを実現したとしている。
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