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半導体の故障箇所を高精度で特定できる発熱解析計測モジュールを開発:組み込み開発ニュース
浜松ホトニクスは、半導体故障解析装置「PHEMOS-X」シリーズ向けの発熱解析計測モジュール「TD Imaging」を開発し、受注を開始した。1式8800万円からで、PHEMOS-Xシリーズへの後付けにも対応する。
浜松ホトニクスは2025年5月8日、半導体故障解析装置「PHEMOS-X」シリーズ向けの発熱解析計測モジュール「TD Imaging(ThermoDynamic Imaging)」を開発し、受注を開始すると発表した。価格は1式8800万円(税別)からで、初年度6式、5年後に累計50式の販売を目標とする。納入済みのPHEMOS-Xシリーズへの後付けにも対応する。
TD Imagingは、計測対象の表面にレーザーを照射し、その反射率の変化から局所的な発熱を捉える発熱解析技術だ。光の反射から熱を検出する既存技術では感度が不十分だったが、レーザーを用いて感度を大幅に向上した。
また、従来の発熱解析に用いるLIT(Lock-in Thermography)は、表面の金属層の隙間から強い発熱信号が得られた。これに対しTD Imagingは、発熱源直上の位置で強い信号を得られるため、金属層下の故障位置を非破壊で、より正確に特定できる。
PHEMOS-Xシリーズは、1台の装置にLITとTD Imagingの両方の検出器を搭載できるため、LITで広範囲の信号を検出してからTD Imagingで2μm範囲まで絞り込める。生成AI(人工知能)用半導体など、先端半導体デバイスの故障原因を特定する確率も向上する。
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