牧野フライスTOB対抗措置を中止、今後は競合提案最終化など取り組み:製造マネジメントニュース
牧野フライス製作所は、ニデックによるTOBへの対抗措置として導入した新株予約権の無償割り当てを中止すると発表した。
牧野フライス製作所(以下、牧野フライス)は2025年5月9日、ニデックによるTOBへの対抗措置として導入した新株予約権の無償割り当てを中止すると発表した。
対抗措置差し止めの申し立て却下後、ニデックがTOBを撤回
牧野フライスは、競合提案の具体化や比較検討の時間を確保することを目的として、ニデックがTOBの延期に応じない場合、ニデックと一般株主で条件の異なる新株予約権を無償で割り当て、ニデックの株式を希釈化する対抗措置を導入した。
ニデックは当初の計画通り、2025年4月4日にTOBを開始したため、牧野フライスは同年6月開催予定の株主総会で、株主に対抗措置発動の意思確認を行う予定だった。
ニデックは2025年4月16日に、東京地方裁判所に新株予約権の無償割り当てを差し止める仮処分命令の申し立てをしたが、東京地方裁判所はそれを却下。ニデックは同年5月8日、「新株予約権無償割当てが実施された場合、当社に損害を生じさせるおそれがあり、本公開買付けを維持することは著しく経済合理性を欠くことになりかねない」としてTOBの撤回を発表した。
ただ、牧野フライスによれば、ニデックの申し立てを却下した東京地方裁判所の決定では、「無償割当てに伴う希釈化などの本来的効果は、株主総会の決議があって初めて具体化するものであることに加えて、債権者(ニデック)において損害を回避または軽減することが可能であるから、相当性に欠けるところはない」とされたという。
今後について牧野フライスは「競合提案にかかわる初期的な意向表明書を提出した第三者との間で、法的拘束力のある最終的な意向表明書の受領に向けて、第三者によるデューデリジェンスへの対応および協議などを行っている。競合提案の最終化、その他の当社の企業価値および株主共同の利益の最大化に向けた取り組みを進めていく」とコメントしている。
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