ニデックのTOB対抗措置差止申し立てを東京地裁却下、牧野フ「全面的に勝訴」:製造マネジメントニュース
ニデックは、TOBへの対抗措置として牧野フライス製作所が行う新株予約権の無償割り当てを差し止める仮処分命令の申し立てが、東京地方裁判所に却下されたことを発表した。牧野フライスも「全面的に勝訴した」とする文書を発表した。
ニデックは2025年5月7日、同社がTOB(株式公開買い付け)を行っている牧野フライス製作所(以下、牧野フライス)による新株予約権の無償割り当てを差し止める仮処分命令の申し立てが、東京地方裁判所に却下されたことを発表した。牧野フライスも同日、「全面的に勝訴した」とする文書を発表した。
高裁への即時抗告可能、ニデック「今後の対応は別途お知らせする」
ニデックは2024年12月27日に、牧野フライスに対して2025年4月4日にTOBを開始すると予告。それ以降、牧野フライスはニデックに、2025年5月9日までTOBを延期することを再三求めてきた。
2025年3月19日には、牧野フライスは、ニデックが同年5月8日までにTOBを開始した場合、ニデックと一般株主との間で条件の異なる新株予約権を無償で割り当て、ニデックが保有する株式を希釈化する対抗措置を発表。牧野フライスは複数の第三者から初期的な買収意向表明書を受けたため、競合提案を比較検討する時間を確保することが、対抗措置の目的となっている。
それでもニデックは当初の予定通り、2025年4月4日にTOBを開始。牧野フライスは同月10日の取締役会において、6月に開催される株主総会で対抗措置の発動を付議することを決議した。
これに対して、二デックは2025年4月16日、東京地方裁判所に、牧野フライスの対抗措置は株主平等の原則に反するとして、新株予約権の発行を差し止める仮処分命令の申し立てを起こした。
今回の東京地方裁判所の決定では、競合提案との比較検討の機会を持つため対抗措置によって1カ月程度時間を確保することは、株主共同利益にかなうなどと判断されたもようだ。
ニデックは東京高等裁判所に即時抗告が可能だ。その他、ニデックがTOBの期間延長に応じるか、実際に競合提案が出現するかどうかなども焦点となる。ニデックは「今後の対応、方針に関しては別途お知らせする」としている。
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