鉛フリー材料を用いた医療従事者向け放射線防護メガネを開発:医療機器ニュース
トクヤマと昭和光学は、鉛フリー材料を用いた医療用放射線防護メガネを開発した。鉛を使用したメガネと同等の耐衝撃性、放射線防護性能を持つ他、鉛使用のメガネとは異なり、通常の方法で廃棄できる。
トクヤマと昭和光学は2025年4月10日、鉛フリー材料を用いた医療用放射線防護メガネを開発したと発表した。
同放射線防護メガネは、レンズやフレームの塗装にトクヤマが開発した鉛フリーの放射線防護材料を用いている。
レンズとして採用した「XS83」は、環境毒性の低いビスマスを独自技術により高濃度で溶解、硬化させた透明な材料を用いた新開発の無鉛レンズだ。FDA規格の耐衝撃性テスト「ドロップボールテスト」に合格した耐衝撃性能や、凹面に自己防曇機能を備える。フレームの塗装には、新開発の無鉛放射線防護コートを採用。フロント部分の塗装がさまざまな方向からの散乱線に対応する。
鉛を使用したメガネと同等の耐衝撃性、放射線防護性能を備える。また、廃棄時に産業廃棄物として処理する必要がある鉛使用のメガネとは異なり、通常の方法で廃棄できる。
試作品として「G601」「P601」の2種を作製した。G601は、横窓にもXS83を使用し、そこから光が入るため明るく、メガネの上から装着できる。P601は、サングラスデザイナーが放射線防護メガネ専用に設計したもので、付属のインナーフレームを使用すると遠近両用を含めた度付き対応が可能だ。なお、発売の際は、仕様が若干変更している可能性がある。
同放射線防護メガネは、同年7月に昭和光学が「for X-GUARD BieW」として発売する。開発や製品化に当たっては、東北大学大学院医学系研究科の協力を得ている。
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