瑞起の「Vividnode」は試作から量産まで対応、RTOSとLinuxのハイブリッドOSも提供:IoT・エッジコンピューティングEXPO
瑞起は、「Japan IT Week 春 2025」内の「第28回 IoT・エッジコンピューティングEXPO」において、独自に開発した組み込み開発ボード「Vividnode」を披露した。
瑞起は、「Japan IT Week 春 2025」(2025年4月23〜25日、東京ビッグサイト)内の「第28回 IoT・エッジコンピューティングEXPO」において、独自の組み込み開発ボード「Vividnode」を披露した。同年夏ごろの発売に向けて開発を進めているところだ。
Vividnodeは、SOM(System on Module)となるコアボードと各種用途に対応する拡張インタフェースボードから構成されている。研究開発に向けた試作だけでなく、コアボードを用いた製品化や量産に対応できることを特徴としている。
コアボードは性能や機能に合わせて“松竹梅”のグレードで3種類をラインアップする。瑞起が国内販売を担当する中国の半導体メーカーAllwinner製のプロセッサ「A527」を搭載する「Core A527」が松、同「H618」を搭載する「Core H618」が竹、そして自社設計プロセッサ「Z7213」を搭載する「Core Z7213」が梅の位置付けになる。
拡張インタフェースボードは、HDMIやMIPI-DSI、100MbpsLAN、USB 2.0、GPIOなどに利用できるピンヘッダの拡張端子など組み込み機器向けとして標準的なインタフェースを備える「Ext Basic」の他、アミューズメント機器向けの「Ext Amuse」や映像や音声関連のインタフェースを強化した「Ext Visual」「Ext Live」などを用意している。
開発環境では、瑞起が独自のカスタマイズによってノウハウを集結した組み込み向けOSとなる「Vivid OS」を用意している。Vivid OSは、μITRONベースの「Vivid RTOS」と組み込みLinuxの「Vivid Linux」で構成されるハイブリッドOSとなっており、RTOSによるリアルタイム処理とLinuxによるアプリケーション処理をメモリ共有する形で実現できる。なお、Vivid Linuxは標準パッケージとして提供する予定だが、Vivid RTOSについては要相談としている。
展示ではCore Z7213とExt Basicの組み合わせを用いた2種類のデモを披露した。1つは、カメラの映像データをVivid Linuxで処理した上で、64×64のLEDマトリックスを用いてGPIO制御で映像データをフルカラー表示するという内容。もう1つは、タッチパネル上で回転リールを操作できるUIの表示と制御をVivid Linuxで処理し、UI上の回転リールの表示に合わせてリアルの回転リールのモーターをGPIOで同期制御するデモだ。
組み込み機器の研究開発では「Raspberry Pi(ラズパイ)」の採用が拡大しているが、その研究開発の成果を基に量産に移行する際にはコストや調達の面で課題がある。「Vividnodeは試作目的の個数1桁レベルの発注から量産まで幅広く対応するための組み込み開発ボードだ。価格については、ラズパイで最も広く用いられているラズパイ4よりも安価に提供したいと考えている」(瑞起の説明員)という。
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