GM、フラグシップEVセダン「CELESTIQ」に130超の3Dプリント部品を採用:3Dプリンタニュース
ゼネラルモーターズ(GM)はフラグシップEVセダン「CELESTIQ」に130点超の3Dプリント部品を採用した。金属AM技術を用いた量産部品や安全部品の実装も進めており、先進的な取り組みが注目される。
ゼネラルモーターズ(以下、GM)は2025年4月30日(現地時間)、セダンタイプのフラグシップ電気自動車(EV)「CELESTIQ(セレスティック)」の部品製造において、3Dプリンティング技術を活用し、130点を超える部品を製造していることを発表した。
同社はこれまで何十年もの間、アディティブマニュファクチャリング(以下、AM)技術を用いて機能部品のプロトタイプを製作し、エンジニアリングの迅速化や車両開発期間の短縮に貢献してきた。
現在はその活用をプロトタイプ開発にとどめず、少量生産車両にも3Dプリント部品を本格的に採用し始めている。その代表的な車両が「キャデラック」ブランドのフラグシップEVセダンであるCELESTIQだ。カスタムオーダー車両であるCELESTIQにおいて、精度と柔軟性を兼ね備えたAM技術が最適な製造ソリューションとして活用され、130点超の部品製造を実現した。
中でも注目されるのが、CELESTIQのステアリングホイール中央部に用いられたトリムベゼル部品で、GMが量産車両に採用した金属3Dプリント部品として最大のものとなる。この部品は、金属レーザー粉末床溶融結合法(Metal Laser Powder Bed Fusion)によって製造された、数少ない量産部品の1つでもある。さらに、シートベルトの位置調整に使用されるガイドループにも金属3Dプリント部品が採用されており、「GMで初となる3Dプリントによる金属製安全部品」(同社)として位置付けられている。
これらのAM活用を支える拠点となるのが、米国ミシガン州ウォーレンの技術センターキャンパス内にある「Additive Industrialization Center(以下、AIC)」だ。AICは2020年12月に開設され、約1400m2の施設内には、ポリマーおよび金属材料に対応した3Dプリンタが20台以上設置されている。
CELESTIQに採用された3Dプリント部品の多くはAICで開発され、その後の量産段階ではサプライヤーと連携して製造が進められている。AM技術を活用したその他の対象部品として、ウィンドウスイッチ、グラブハンドル、コンソールの装飾部品、車体下部の構造部品などが挙げられる。
なお、GMではCELESTIQ以外の車両にも3Dプリント部品の導入を進めている。例えば、キャデラックのVシリーズ「ブラックウィング」では、マニュアルシフトノブにあしらわれたメダリオン部品に初めて3Dプリントを採用した。また、キャデラック・レーシングのモータースポーツ車両にも、AM技術が幅広く活用されているという。
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