廃棄物に混入するリチウムイオン電池を検出するシステムを発売:材料技術
Integral Geometry Scienceは、廃棄物に混入するリチウムイオン電池を検出する「リチウムイオン電池検知システム」を2025年4月21日に発売する。
Integral Geometry Science(IGS)は2025年4月21日、廃棄物に混入するリチウムイオン電池を検出する「リチウムイオン電池検知システム」を開発したと発表した。同日に発売する。
同システムの特徴
リチウムイオン電池検知システムは、IGSが研究/確立した「物体内透視技術」を応用している他、同社が開発した計算理論と量子効果センサーにより、不燃ごみの中からリチウムイオン電池を検知することを可能にした。
同システムは、廃棄物の構成材料によって変化する電磁場の空間分布を量子効果センサーで検出する。金属、ガラス、陶器、プラスチックなどで構成された日用品や小型家電などの廃棄物の中から、リチウムイオン電池を検知できる。放射線を使用していないため放射線管理区域やX線技師などの専門家も必要としない。
搭載された量子効果センサーは、対象の廃棄物を近い距離で検査しなくてもリチウムイオン電池を検出するため、さまざまな大きさの廃棄物を一度に検知可能だ。
同システムの開発背景
国内では現在、モバイルバッテリーなど、リチウムイオン電池を使用した製品の普及に伴い、捨てられたリチウムイオン電池が原因とみられる、ごみ収集車やごみ処理施設での出火/発煙件数が増加している。
環境省の調査によれば2023年度は、前年度と比べてごみ処理施設や収集車で発生したリチウムイオン電池など起因の出火/発煙件数は30%増加し、過去最多となった。一方、製品評価技術基盤機構によれば、ごみに混入したリチウムイオン電池の発火などによる被害額は、2018年度から2021年度の4年間でおよそ111億円に達している。
こういった状況を踏まえてIGSはリチウムイオン電池検知システムを開発した。
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