いすゞと富士通が商用SDVの開発で協業、商用車情報基盤「GATEX」を深化:車載ソフトウェア
いすゞ自動車と富士通は、商用SDVの開発強化に関するパートナーシップ契約を締結したと発表した。
いすゞ自動車と富士通は2025年4月15日、商用SDV(ソフトウェアデファインドビークル)の開発強化に関するパートナーシップ契約を締結したと発表した。物流効率化やカーボンニュートラルの実現などの物流業界の課題解決に向け、商用モビリティの特性を踏まえた競争力のあるSDVの開発に向けて、それぞれの強みである商用車とデジタルのノウハウやアセットを活用し、ソフトウェアアップデート時代における開発体制の在り方、ソフトウェア人材の育成、開発効率化や開発基盤の強化などに取り組む。
商用SDVを実現することで、より高度なデータ活用が可能となり、輸送効率の向上、物流の可視化による業務効率化、EV(電気自動車)/FCV(燃料電池車)をベースとするトラックやバスのエネルギー管理の最適化によるCO2排出量の削減などが期待できる。
いすゞと富士通は、両者が共同出資するトランストロンとともに、高度な運行管理や稼働サポートサービスを提供する情報基盤「GATEX」の運用を2022年10月に開始している。いすゞはこのGATEXを基にして、“未然に防ぐ・すぐ直す”をコンセプトとした独自の高度純正整備「PREISM(プレイズム)」や商用車テレマティクス「MIMAMORI(みまもり)」などの各種サービスを約57万台の商用車向けに提供している。
今回両社が締結したパートナーシップでも、将来的にGATEXを商用SDVのデータ利活用基盤として深化させ、新たなソリューションの開発および提供を通じて、物流業界の社会課題解決を推進していく方針である。
なお、いすゞグループは2023年5月、総額1兆円のイノベーション投資を行うことを表明している。このうち、次世代SDV、自動運転、コネクテッドなどの技術/サービスの開発と拡充について、今回締結したパートナーシップはその基盤づくりの入口に位置付けられている。
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