東レがオレフィン系長繊維不織布の新シリーズ発売 10億円の事業規模目指す:材料技術
東レは、オレフィン系長繊維不織布「ARTORAY(アートレイ)」シリーズについて、東レ滋賀事業場(滋賀県大津市)の独自設備で量産を開始し、2025年4月に発売する。
東レは2025年3月27日、オレフィン系長繊維不織布「ARTORAY(アートレイ)」シリーズについて、東レ滋賀事業場(滋賀県大津市)の独自設備で量産を開始し、同年4月に本格販売を開始すると発表した。主に資材向けを対象に、用途に応じた3タイプ「ARTORAY FN」「ARTORAY HS」「ARTORAY BC」を販売し、2026年には年間で10億円の事業規模に成長させることを目指す。
3タイプの概要
紙に似たデザインのARTORAY FNはフラット加工を施した不織布だ。紙と比べて引裂強度が6倍で、紙粉が出ない。耐摩耗性に優れ、包装材料やメディカル用途への適用を想定している。
ARTORAY HSは、シート構造を嵩高(かさだか)に仕上げており、高い剛性と通気量を備えている。一般的なポリプロピレン不織布と比べて、剛性は約5倍で、通気量は約3倍だ。フィルター基材としての用途を想定している。
ARTORAY BCは、2成分複合型で、接着剤を使わず熱によって接着させるヒートシールが可能だ。繊維の中心がポリエステル、その周囲をポリエチレンが覆う芯鞘構造で、ラミネート用の基材や包装材料に適している。
オレフィン系の1つであるポリプロピレン長繊維不織布は、そのソフトな風合いから既に紙おむつを中心とした衛生材料向けに使用されており、同社は国内およびアジア地域で事業展開している。今後はこれらの販売ネットワークも活用しながら、ARTORAYは資材用途を中心に主に国内で拡販し、将来的にはニーズに応じて海外での展開も視野に入れている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ステンレスと同等の強度のポリエチレンフィルムを開発、フッ素樹脂代替で展開
東レは「nano tech 2024 第23回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」に出展し、超高強度を有する超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)フィルムを披露した。ヘリウムリサイクル体制を構築 極低温測定分析サービス提供の取り組み
東レリサーチセンターは、分析装置で冷媒として使用したヘリウムガスを再液化するシステムを滋賀事業所(滋賀県大津市)に導入した。イオン伝導度が従来比10倍の次世代電池用イオン伝導ポリマー膜を開発
東レは、イオン伝導度を従来開発品と比べ10倍に向上させた次世代電池用イオン伝導ポリマー膜を開発したと発表した。東レが韓国の子会社でPPS樹脂の生産能力を年産5000t増設、2024年12月に稼働開始
東レは、韓国の100%子会社である東レ尖端素材の群山工場において、PPS樹脂「トレリナ」の生産能力を年産5000t(トン)増設する。2024年12月の稼働開始を目指し、PPS樹脂の世界的な需要拡大に応じる。東レがマレーシアでABS樹脂の生産増強、グループで年産42万5000トンに
東レのマレーシア子会社Toray Plasticsは、「ABS樹脂トヨラック」透明グレードの生産能力を増強し、本格生産を開始した。既存の東レ千葉工場と合わせると、東レグループ全体の生産能力は年産49万7000トンまで拡大した。