ニュース
眼科専門医レベルの緑内障診断AIを開発:医療技術ニュース
東北大学は、AIを活用して、眼科専門医の診断過程を模した高精度な緑内障スクリーニング(AI-GS)ネットワークを開発した。初期緑内障の検出性能に優れるほか、判定結果が数値で示されるため、読影医がAIの診断根拠を容易に理解できる。
東北大学は2025年3月3日、AI(人工知能)を活用して、眼科専門医の診断過程を模した高精度な緑内障スクリーニング(AI-GS)ネットワークを開発したと発表した。初期緑内障の検出性能に優れるほか、判定結果が数値で示されるため、読影医がAIの診断根拠を容易に理解できる。
今回の研究では、緑内障の診断に重要な所見となる視神経乳頭出血、網膜神経線維層欠損、視神経乳頭陥凹拡大を個々に判定する専用AIモデルを作成。それぞれの結果を踏まえ、統合的に緑内障の有無を判定する。
この手法により、8000枚の眼底写真を用いた検証では、感度93.52%、特異度95%を達成した。初期緑内障は眼底写真の変化が小さいが、AI-GSネットワークでは高精度に検出できる。
従来のAIは、判定根拠が不明なブラックボックス問題を抱えていた。AI-GSネットワークは、結果の根拠や確信度を数値で出力するため、画像から診断を下す読影医がAIの判断根拠を理解できる。
画像の読影結果を1枚当たり1秒未満で出力可能で、多数の眼底写真を迅速に判定できる。軽量設計のため携帯型デバイスや低リソース環境にも対応可能で、眼科医が限られた医療過疎地や大規模眼底写真検診などでの利用が期待される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
脳への微弱な電気刺激が記憶力を活性化する
新潟医療福祉大学は、脳への微弱な電気刺激が記憶力の活性化に寄与する可能性があることを発見した。認知症リハビリテーションや治療法開発への応用が期待される。胃カメラをしながら膵がんを早期発見できる診断法を開発
大阪大学らは、胃カメラの際に追加検査することで、早期膵がんを高精度に診断できることを発見した。十二指腸乳頭部を洗浄し、その回収液中のKRAS遺伝子変異を検出する。歯周病リスク判定ツールが厚生労働省の事業に選定
パナソニックくらしアプライアンス社が開発中の歯周病リスク判定ツールが、国民皆歯科検診の実現に向けた厚生労働省の「歯周病等スクリーニングツール開発支援事業」に選定された。この事件を無駄にするな! 医療業界が伝える製造業セキュリティへの提言
「モノづくりに携わる人」だからこそ、もう無関心ではいられない情報セキュリティ対策の話。今回は、大きな注目を集めた岡山県精神科医療センターにおけるランサムウェア事案に関する調査報告書の内容を読み解く。シンガポールに学ぶクラウド型SaMD/Non-SaMDのセキュリティ
本連載第101回でシンガポールの医療/介護イノベーション動向を取り上げたが、新技術創出を支えるクラウド基盤のガバナンス向上施策も進んでいる。AIを活用した新世代の心臓モデルを試験運用、患者のバーチャルツインが作成可能に
Dassault Systemesは、AIを活用した新世代の心臓モデル「リビング・ハート・モデル」を評価するベータ試験の実施を発表した。個々や集団の患者に合わせて高度にカスタマイズできる。