AIを活用した新世代の心臓モデルを試験運用、患者のバーチャルツインが作成可能に:医療機器ニュース
Dassault Systemesは、AIを活用した新世代の心臓モデル「リビング・ハート・モデル」を評価するベータ試験の実施を発表した。個々や集団の患者に合わせて高度にカスタマイズできる。
Dassault Systemesは2025年2月26日(現地時間)、AI(人工知能)を活用した新世代の心臓モデル「リビング・ハート・モデル」を評価するベータ試験の実施を発表した。個々や集団の患者に合わせて高度にカスタマイズ可能で、新しい治験と規制当局による承認を迅速化するリソースとなり得るモデルの構成を目指す。
新世代モデルは、高度にカスタマイズしており、ボタン1つで組織特性や構造変化などを調整できる。「リビング・ハート・プロジェクト」で培った経験から、人間の生理学に対する洞察力で、何千もの仮想空間により患者のバーチャルツインを作成可能だ。
また、生成AIの学習に必要なデータセットとしても活用できる。実際の人間や動物を使用することなく、疾患理解や特定の治療に対する集団患者の反応を予測。これにより医療機器メーカーは、高い信頼性を維持しつつ、デバイスなどの設計、治験、検証を実施可能になる。
同社は約10年前に、循環器疾患の治療に携わる専門家を集めたチームと共同で「リビング・ハート・プロジェクト」を立ち上げている。心臓全体の3Dモデルを開発し、その動きを再現する3Dシミュレーションモデルを提供してきた。
新世代モデルのベータ試験は、臨床試験の加速に向けたバーチャルツインの活用方法をまとめた医療機器業界向けの手引書「エンリッチメント・プレイブック」の公開に続くものとなる。なお、同手引書は、米国食品医薬品局(FDA)との5年間の共同研究の成功を受けて発表された。
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