太陽光リユースパネルの有効性実証 安全性と発電効率を評価:リサイクルニュース
TREホールディングスの連結子会社であるリバー、東芝エネルギーシステムズ、東芝環境ソリューションは、リバーの壬生事業所に使用済み太陽光パネルを用いた自家消費型の太陽光発電システムを導入し、リユースパネルの有効性について共同で実証を行うことで合意した。
TREホールディングス(以下、TRE)の連結子会社であるリバー、東芝エネルギーシステムズ(以下、東芝ESS)、東芝環境ソリューション(以下、TESC)は2025年3月24日、リバーの壬生事業所(栃木県壬生町、同年8月に開業予定)に使用済み太陽光パネル(以下、リユースパネル)を用いた自家消費型の太陽光発電システムを導入し、リユースパネルの有効性について共同で実証を行うことで合意したと発表した。
同実証の概要
同実証では、リバー壬生事業所の屋根に新品の太陽光パネル(約178kW分)とリユースパネル(約156kW分)を混合で設置する。使用するリユースパネルはTESCが健全性を評価したもので、新品と同様の条件で稼働させ、東芝ESSが発電量などのデータを取得し、安全性および発電効率を評価。これによりリユースパネルの有効性を実証する。
この実証は、資源や素材を循環利用して廃棄物を最小限に抑え、環境負荷を低減する「サーキュラーエコノミー」の推進に向けて実施するもので、3社にとって初めての試みだ。リユースパネルの活用により、パネルの廃棄量の削減だけでなく、太陽光発電システムの設備導入時の温室効果ガス排出量削減にも貢献する。導入するシステムは2025年8月に稼働開始予定だ。
各社の役割に関して、TREはリユースパネルの有効性実証場所の提供と太陽光パネルリサイクル事業の推進を、東芝ESSはリユースパネルを活用した太陽光発電システムの建設やリユース太陽光発電所の発電所診断、発電量評価を、TESCは健全性を評価した太陽光パネルの提供(既に商用展開している診断サービスを適用)を担当する。
同実証実施の背景
国内では、2012年に始まったFIT(固定価格買取制度)制度により多くの太陽光発電所が設置されたが、太陽光パネルの製品寿命は25〜30年程度とされ、2030年頃から使用済みパネルが大量に発生することが見込まれている。
経済産業省や環境省は、太陽光パネルの3R(廃棄量の削減、リユース、リサイクル)を推進するため、リサイクル法の法制化を検討している。リユースパネルの活用は、太陽光パネル廃棄物の低減および平準化の観点から重要な役割を果たすが、これまで活用実績が少なく、その有効性の実証が求められていた。
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