マツダはEV専用工場を作らない、投資を抑えながら電動化黎明期に臨む:電動化(4/5 ページ)
マツダは電動化のマルチソリューションの具現化に向けた「ライトアセット戦略」を発表した。
EV1台分のシミュレーションモデル構築
2027年導入予定のEVは協業やパートナーシップによって従来比で開発投資を40%減、開発工数を50%減に効率化できる見込みだという。
欧米のEV比率は濃淡がある。欧州であればノルウェーのEV比率は90%だが、イタリアは5%程度にとどまる。米国も、カリフォルニア州でEV比率は2割まで拡大したが、それに及ばない州も少なくない。需要も政策に左右されるなど不透明だ。長安汽車との合弁会社による協業のEVと、自社開発のEVを適切に組み合わせて得意分野にリソースを集中させる。
また、マツダはEV専用工場を設けず、EVとエンジン車の混流生産とすることで、EV専用工場の新設に比べて初期設備投資を85%減、量産準備期間を80%減に抑制する。これまでの混流生産と同様に開発と生産のメンバーの協働により、EVやPHEV(プラグインハイブリッド車)でも標準となる工程や構造を決めていく。2027年導入予定の自社開発EVは国内で生産し、グローバルに展開する。
自社開発のEVは専用プラットフォームを採用する。さまざまなタイプの電池を搭載でき、車型の派生も生み出せる柔軟性を持たせる。単位面積当たりの電池の搭載数でトップを実現する。
EVでもモデルベース開発を活用する。人体から、熱、空調、モーター、インバーター、電池まで、EV1台分のモデルを確立し、EV向けの複雑な熱マネジメントに対応する。制御の最適化だけでなく、EVの多様化や電池の進化/変化に対応できるフレキシビリティを獲得する。モデル上のキャリブレーションにAIを活用することで、従来と比べて数万倍の速度で計算することも可能になっているという。
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