マツダはEV専用工場を作らない、投資を抑えながら電動化黎明期に臨む:電動化(3/5 ページ)
マツダは電動化のマルチソリューションの具現化に向けた「ライトアセット戦略」を発表した。
SKYACTIV-XからSKYACTIV-Zへ
SKYACTIV-Zは、排気量2.5l(リットル)の4気筒ガソリンエンジン。アフォーダブルな価格帯で欧州のユーロ7、米国のLEV4、Tier4をクリアするとしている。マツダ独自のハイブリッドシステムと組み合わせて「CX-5」の次期モデルに搭載する。
SKYACTIV-Zの特徴は“究極の燃焼”に近づけた燃焼技術による燃費性能と走行性能の両立だ。出力を落とさずに厳しい排ガス規制に対応する。実用シーンの広い領域で高い熱効率を達成し、高負荷/高回転でも良好な燃費を保つ。
これまでのSKYACTIVエンジンと同様に、圧縮比/比熱比/燃焼期間/燃焼時期/壁面熱伝達/吸排気工程圧力差/機械抵抗の7つの制御因子を対象に、理想の内燃機関に近づける。過去のSKYACTIVエンジンでも、世界一の高圧縮比や、世界初のリーン圧縮着火燃焼(SPCCI、Spark Controlled Compression Ignition)によって理想のエンジンに近づける技術開発を進めてきた。
SPCCIを採用したSKYACTIV-Xの燃焼の適合は、従来の手法であればガソリンエンジンのSKYACTIV-Gに比べて1.6万倍の時間を要する可能性があった。燃焼モデルをベースに高速計測とデータ処理、AIを併用することで、適合開発を高速化し、所要時間はSKYACTIV-Gの3分の1に抑えた。
SKYACTIV-Zの開発ではSKYACTIV-Xの技術資産を活用し、SPCCIの領域を効率的に広げる。カギを握るのは、SPCCIで培ったスーパーリーンバーン(希釈燃焼)と遮熱膜、排気量拡大の3つのアプローチだ。燃焼改善技術はラージ商品群の直列6気筒エンジンにも展開するほか、ロータリーエンジンのエミッション規制への適合にも活用する。
エンジンのラインアップは効率化を進め、エンジンユニット数は半数以下、制御ソフトウェアは3分の2に集約する。
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