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マツダはEV専用工場を作らない、投資を抑えながら電動化黎明期に臨む電動化(2/5 ページ)

マツダは電動化のマルチソリューションの具現化に向けた「ライトアセット戦略」を発表した。

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モデルベース開発を車両全体に拡大、混流生産も進化

 投資を最適化するライトアセット戦略に加えて、「ものづくり革新2.0」も推進する。既存の開発リソースの水準を維持しながら商品のソフトウェアの複雑化などに対応し、生産性を3倍に向上させる。

 ものづくり革新2.0では、EVからエンジン車まで開発と生産の一括企画を行う。開発領域では、これまで進めてきたユニット単位のモデルベース開発を、AI(人工知能)などの活用によってクルマ全体のモデルに進化させる。目指す機能や性能に向けて車両としてどのように制御するか、シミュレーションで明らかにする。エンジンでシャシーを制御する「Gベクタリングコントロール」はその先駆けだったという。

 また、JAMBEなどとの共創により中小の取引先も含めてサプライチェーン全体までモデルベース開発を拡張していく。

 ものづくり革新2.0では、生産領域においてAGV(無人搬送車)を活用した「根の生えない生産設備」などを導入する。需要の変動に対する柔軟性を確保し、資産効率を高める。

 これまで、車種ごとに異なるパワートレインや内装のモジュールを組み立てるサブラインと、それを組み付けるメインラインに分けて効率化を図ってきた。これまで固定された組み立てラインだったサブラインを、AGV上での作業にする。AGVの台数や移動によって工程数を自由に変えられるようにし、作業量の異なる多様なパワートレインに対応する。メインラインでも、搭載位置の異なるパワートレインに対応するため組付け位置を自動調整できるAGVを導入。EVとエンジン車の効率的な混流生産を実現する。岩国のバッテリー新工場でも、ものづくり革新によって高効率な稼働を実現する。


AGVで「動かせるサブライン」に[クリックで拡大] 出所:マツダ

メインラインでもAGVを活用[クリックで拡大] 出所:マツダ

 車両のバリエーションに合わせて、組み合わせるソフトウェアも大幅に増えていく。ECUは、車種固有のソフトウェアを仕入れ先が書き込むなどの工程のため、種類やサプライチェーン上の在庫が増加するのが課題だった。まずはパワートレインの種類を減らし、ECUもハードウェアを統一する。車種共通のソフトウェアのみ書き込み、車種固有のソフトウェアは工場で無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)で反映させるなどによりユーザーの需要に柔軟に対応する。

 量産準備期間は、デジタルツインによるシミュレーションを活用して事前に検証することで短縮する。これまでに工法や工程を共通化し、同じ設備でさまざまな車種に活用できるようにしてきたことで、デジタルツインに必要な設備モデルも資産として利用可能になった。


取引先とも協力してサプライチェーンを効率化する[クリックで拡大] 出所:マツダ

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