QNX、Vector、TTTech Autoが車両ソフトウェアプラットフォームを共同開発:車載ソフトウェア
QNX、Vector、TTTech Autoは、ソフトウェア統合の高コストで煩わしいプロセスにおける課題を解消するため、車両ソフトウェアプラットフォームの開発および市場提供を共同で取り組む。
QNX、Vector(ベクター)、TTTech Autoは2025年3月5日、ソフトウェア統合の高コストで煩わしいプロセスにおける課題を解消するため、車両ソフトウェアプラットフォームの開発および市場提供を共同で取り組むと発表した。
3社が構築する車両ソフトウェアプラットフォームを活用することで、自動車メーカーは堅牢なソフトウェア基盤を獲得できる。そして、ソフトウェア統合の高コストで煩わしいプロセスにおける課題を解決し、各ブランドで差別化されたアプリケーションやサービスの顧客提供に注力できるようになる。加えて、自動車メーカーは開発メンバーの交代があっても対応でき、オープンで透明性の高い共同作業態勢を構築できる。
この統合された車両ソフトウェアプラットフォームは、機能安全規格「ISO 26262 ASIL D」とサイバーセキュリティ規格「ISO 21434」の認証を取得している。軽量かつ簡素な設計で、かつ高性能であるため、車両全体に適用可能となる。その結果、自動車メーカーは、従来よりもSoftware Defined Vehicle(SDV)の開発をスピードアップさせ、コストの適正化や重要リソースの集中、より改善された顧客体験の提供ができるようになるという。
QNXとベクターは、安全性の高いオペレーティングシステムと、これまで培った自動車向けミドルウェアソリューションという両社の専門的なノウハウを組み合わせて、「車両ソフトウェアプラットフォームのコアとなる部分を共同で開発し、管理を実施する。ベクターはツールとテストソリューション分野での深い知見をプロジェクトに提供し、TTTech Autoは高度なタスクと通信スケジューリング分野での専門的な知見、「Correct-by-design(正確性を重視した設計)」アプローチでプラットフォームをサポートする。
今回の連携は、コラボレーションモデルが従来のバリューチェーンからバリューネットワークへと変化していることを示す。なお、車両ソフトウェアプラットフォームのGA版(General Availability:正式版)に関する詳細情報は、2026年度中に発表する予定である。
自動車メーカーは、次世代車両の開発において強靭な車両ソフトウェアプラットフォームが重要であることは分かっているが、その開発および維持には高いコストがかる。各車両ECUには多くのソフトウェアプロバイダーが関わっているため、統合やアップグレードの費用がかさみ、ソフトウェアの互換性問題、性能問題、配置の課題、生産の遅延を招くことがあり、開発プロセスでの煩雑さが増加している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
東芝情報システムが川崎市内に車載ソフト開発の新拠点を開設
東芝情報システムは、川崎市川崎区に、新拠点「車載ソフトウェア開発センター」を開設した。主要取引先となるデンソーのソフトウェア戦略に対し、迅速かつ的確に応える体制を整える。デジタルコックピット開発をクラウドで仮想化するOEM向けフレームワーク
BlackBerryの事業部門QNXは、デジタルコックピットの開発をクラウド上で仮想化するOEM(自動車メーカー)向けフレームワーク「QNX Cabin」を発表した。コード設計やテスト、改良を経た後の、SoCハードウェアへの移植が容易になる。NXPがTTTech Autoを6億2500万ドルで買収、需要高まるSDVへの対応力を強化
NXP Semiconductorsは、オーストリアの車載ソフトウェアベンダーであるTTTech Autoを6億2500万米ドル(約988億円)で買収すると発表した。4K非圧縮マルチチャネル映像の光無線伝送に初めて成功
三重大学、日立国際電気らのグループは、鈴鹿サーキットで撮影した4チャネルの非圧縮4K映像を55km離れたケーブルテレビ事業者の社屋まで光無線伝送するフィールド実証に成功した。電機メーカーはSDVをどう見ている? 「メリットは大きい」
電子情報技術産業協会はSDVに関連した半導体や電子部品の市場見通しを発表した。自動車向け生成AIサービスを強化、第一弾は車載エッジAIエージェント
ヘッドウォータースは、自動車業界向けの生成AIサービスを強化する。第一弾として、車載エッジAIエージェントのラインアップを強化。今後はスマートファクトリーやSDV向け生成AIなどの展開を図る。