デジタルコックピット開発をクラウドで仮想化するOEM向けフレームワーク:車載ソフトウェア
BlackBerryの事業部門QNXは、デジタルコックピットの開発をクラウド上で仮想化するOEM(自動車メーカー)向けフレームワーク「QNX Cabin」を発表した。コード設計やテスト、改良を経た後の、SoCハードウェアへの移植が容易になる。
BlackBerryの事業部門であるQNXは2025年1月7日(現地時間)、デジタルコックピットの開発をクラウド上で仮想化する、OEM(自動車メーカー)向けフレームワーク「QNX Cabin」を発表した。
QNX Cabinは、開発環境がクラウドベースであることから、開発工程上流にセキュリティ対策を組み込める「シフトレフト」が可能だ。そのため、コード設計やテスト、改良を経た後の、SoC(System on Chip)ハードウェアへの移植が容易になる。
同フレームワークは、ADAS(先進運転支援システム)などの安全機能と、Android AutomotiveやLinuxなどのゲストOSが提供するコンシューマー向けアプリケーションを一体化した環境での開発においてさまざまな課題を解決する。また、仮想化と業界標準のVirtIOインタフェースを用いて、ハードウェアへの依存度を抑えて拡張性を向上する。
インフォテインメントシステム、クライメートコントロール、コンフォートコントロール、ADASなどの機能を含むデジタルコックピットは、SDV(ソフトウェア定義型自動車)の車内体験の基礎になっている。しかし、自動車のライフサイクル全般において新機能に対するエンドユーザーのニーズは拡大しており、OEMにとって多様で複雑なソフトウェアシステムを単一のハブに統合することは、非常に大きな負担となっていた。
QNX Cabinにより、複数のチームが異なる拠点からシームレスに共同作業できるようになる。その結果、開発ワークフローの迅速化やプロセスの合理化が図られ、市場投入期間も短縮できる。
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