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新たな2液硬化型磁性ウレタン樹脂 電子機器の熱や電磁ノイズ対策に有効:材料技術
三洋化成工業と戸田工業は、電子機器の熱や電磁ノイズ対策に適した2液硬化型磁性ウレタン樹脂を共同開発した。巻線インダクターの封止材や非接触給電部材などの用途を見込み、商用化に向けてサンプル提供を開始している。
三洋化成工業は2025年3月3日、戸田工業と共同で、電子機器の熱や電磁ノイズ(EMI)対策に適した2液硬化型磁性ウレタン樹脂「キラオーパス」を開発したと発表した。商用化に向け、サンプル提供を開始している。
キラオーパスは、戸田工業のソフトフェライト粉末を、三洋化成の界面制御技術によりウレタン樹脂中に高濃度に分散させた素材だ。透磁率の高いソフトフェライト粉末がノイズの磁場成分を吸収し、幅広い周波数環境で電磁ノイズ抑制性能を発揮する。
硬化前は流動性に優れたペースト状で、複雑な形状や狭い部位にも容易に充填でき、空隙ができにくい。2液混合後は、室温下24時間で柔軟性を有して硬化し、熱に弱い基板や部品にも使用可能だ。
硬化物は各種電気電子部品への封止や注型に適しており、高電気抵抗かつシロキサンフリーで精密機器の接点障害を起こしにくく、高熱伝導性で効率的に放熱できるため、電子機器の小型化や薄型化、ノイズ低減、安定動作、通信品質の向上などに寄与する。巻線インダクターの封止材や非接触給電部材などの用途を見込む。
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