産業オートメーションの新標準「Margo」でOTとITの融合へ、レッドハットが提案:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
レッドハットは、製造業向けの取り組みや産業オートメーションにおけるエッジ相互運用性の標準を策定している「Margo」の活動内容について説明した。
Margoは2025年第2四半期に最初のユーザー向け仕様を発表予定
そこで、Linux Foundationの傘下で、産業オートメーションのエコシステムのエッジにおける相互運用性を実現する新たな標準を策定するイニシアチブとして2024年4月に立ち上がったのがMargoである。ABBやエマソン、シーメンス、シュナイダーエレクトリック、ロックウェル・オートメーションといった欧米の制御機器メーカーの他、インテル、マイクロソフト、そしてレッドハットといったソフトウェアベンダーが幹事企業として加わり、オープンコミュニティーによる標準化を進めている。スウィット氏は「制御機器メーカーのOT(制御技術)に関する要望を受けて、ソフトウェアベンダーがクラウドとエッジのハードウェア/ソフトウェアの3層をつなぐAPIに関する仕様を策定する。レファレンスデザインやコードベース開発などを行っている。2025年第2四半期(4〜6月期)には、最初のユーザー向け仕様を発表する予定だ」と述べる。
レッドハット日本法人 グローバルセールス Industry4.0事業開発室 室長の松本洋一氏は「産業オートメーション市場ではOTとITの間で分離があることが課題であり、Margoはそれを解決するための取り組みだ。日本国内でも企業内部でこのOTとITの連携が重要であるという意識は高まっている。しかし日本は、システム構築においてOTでもITでも内製より外部のSIerの役割が大きい点が海外と異なる。そして、このOTとITのSIerの間にも分離があり、日本におけるOTとITの融合には二重苦を克服する必要がある」と強調する。
この二重苦を早期に克服する上で、先述のMargoとレッドハットのエコシステムが大きく貢献できるという。「Margoが標準の共通プロトコルとしてOTとITのSIerの分離を解消し、クラウドから産業機器/センサーなどのハードウェアまで広がるレッドハットのエコシステムによってOTの現場におけるITソリューションの取り込みを促進できる。Margoのコンセプトを日本市場に合わせて換骨奪胎していくことで、日本における産業オートメーションの高度化に貢献してきたい」(松本氏)としている。
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