出光興産が全固体電池材料の量産に向け硫化リチウム大型製造装置を建設決定:工場ニュース(3/3 ページ)
出光興産は、全固体リチウムイオン二次電池の材料となる固体電解質の量産に向け、硫化リチウムの大型製造装置「Li2S 大型装置」の建設を決定したと発表した。
総合研究所を千葉事業所内に新設
当日は千葉事業所に総合研究所「イノベーションセンター(仮称)」を2027年中をめどに新設することも発表された。
イノベーションセンターは、複数拠点に存在する出光興産の研究所を集約し、事業横断の研究開発体制の構築と社外連携を推進する施設だ。同施設では、出光興産グループの石油/石油化学の基幹製造拠点である千葉事業所内で研究開発からプロセスエンジニアリング/商業生産までの一気通貫体体制の構築を目指す。「イノベーションセンターでは複数の研究拠点で勤務する人員が集結し1000人が所属する見込みだ」(中本氏)。
この研究所では大きく分けて「社内共創」「社外共創」「MI(マテリアルズインフォマティクス)/DX(デジタルトランスフォーメーション)」といった3つの取り組みを行う。「社内共創」では施設内にワンルームオフィス(1つの部屋だけで完結するオフィス)や交流スペースを設け、各部門の人材と技術の交流を促進する。
「社外共創」では、未来の製品/技術の展示空間やコンベンションホール、オープンラボを配置し社外のパートナーなどとのつながりと共創を推進。「MI/DX」では、実験、解析、計算、AI(人工知能)を高度に融合したMI環境や、オープンソース/データを安全かつ容易に使えるクラウド環境を構築する。
また、千葉事業所ではエタノールからSAF(持続可能な航空燃料)を製造する技術「ATJ(Alcohhol to Jet)」による製造実証を行った後、2028年度に年間10万kLのSAFの供給を開始。加えて、年間2万tの使用済みプラスチックを原油に再資源化できる油化ケミカルリサイクル設備の商業運転を2025年度にスタートする。
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