第一工業製薬は2025年2月4日、加熱プロセスを必要としない2液混合型硬化ウレタン樹脂を開発したと発表した。2液混合型ウレタン樹脂はポリオール成分とイソシアネート成分の2種類の液体を混ぜて作製するウレタン樹脂を指す。
開発品の特徴
今回の開発品は、加熱プロセスを全く必要とせず、常温で硬化する。これにより、エポキシ樹脂に相当する物理特性を持ちながら、エネルギー使用量を削減できる。さらに、常温で硬化させた場合でも約150℃のガラス転移温度(Tg)を持つ他、室温で約80MPaの高い曲げ強度を有することが特徴だ。
これらの特徴を生かして、強度の必要な箇所や特に熱源付近の材料への活用が期待できる。同開発品の紹介は2024年10月に開始した。今後は半導体や電池などの電子/情報分野、エンジン周りなどの車載分野、構造用接着剤などの建築分野を中心に、2027年の採用を目標に掲げ、2030年度には売上高10億円を目指す。
開発の背景
近年、CO2排出量の削減などカーボンニュートラルを推進する取り組みが増えつつある。この動きに伴いエネルギー使用量を削減する技術や製品に対するニーズが高まっている。
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