ニュース
温暖化ガス排出量を約60%削減、溶剤系と同等の性能を持つ水系ウレタン樹脂:材料技術
DICは、環境に配慮した水系ウレタン樹脂「HYDRAN GP」シリーズの販売を開始した。溶剤系に匹敵する品質を保持しつつ、従来品よりも水分量を削減したことで、生産工程における温暖化ガス排出量を約60%削減する。
DICは2023年6月28日、環境に配慮した水系ウレタン樹脂「HYDRAN(ハイドラン) GP」シリーズの販売を開始したと発表した。
HYDRAN GPシリーズは、従来は35〜50%の樹脂濃度を50〜60%に高めることで、水分量を削減し、高固形分化している。これにより、生産工程における温暖化ガス(GHG)排出量を、従来品の水系ウレタン(固形分35%)と比較して38%削減する。溶剤系ウレタン(同30%)との比較では63%削減可能だ。
また、従来の水系ウレタン樹脂は、風合いや屈曲性、保存安定性などで溶剤系に劣る点があったが、同シリーズは溶剤系に匹敵する品質を保持している。
臭気の原因となるアミン系物質を使用していないため、加工プロセスにおける揮発性有機化合物(VOC)の発生や臭気を抑制する。
同社は、同シリーズを合成皮革や人工皮革、塗料、接着剤用途などに展開し、2030年に売上高100億円を目指す。
関連記事
- DICと出光興産がバイオプラのサプライチェーン構築、バイオPSの製造を開始
DICと出光興産は、新たなバイオマスプラスチックのサプライチェーン構築とバイオマスポリスチレン(バイオマスPS)の製造に向けた検討開始に合意したと発表した。 - DICがサプライチェーンを最適化するプラットフォームを運用、業務の属人性を排除
DICは、グローバルに展開している主力事業のサプライチェーン全体を最適化する「デジタルSCM(サプライチェーン・マネジメント)プラットフォーム」の運用を開始した。 - 抗ウイルス/抗菌機能を備えた3Dプリンタ用フィラメントを開発
DICは、抗ウイルス/抗菌機能を有した3Dプリンタ向け熱可塑性プラスチック材料を開発したことを発表した。抗ウイルス性/抗菌性に作用するフィラメントの開発は「国内初」(同社)だという。 - サステナブル設計の支援に注力するPTC、パートナーとも連携拡大で体制強化
PTCは、米国マサチューセッツ州ボストンで年次イベント「LiveWorx 2023」を開催した。基調講演には同社 社長 兼 最高経営責任者のジェームズ・E・ヘプルマン氏が登壇し、同社の最新の事業戦略や取り組みを紹介した。本稿では、当日の講演内容を抜粋して紹介する。 - 廃プラをアップサイクルして製品化する取り組みを開始
スワニーとミヨオーガニックは、持続可能なモノづくりを支援する「アップサイクリング・ワークスペース」を開始した。廃棄プラスチックをアップサイクルし、新たな価値を持つ製品として生まれ変わらせる。 - 旭化成がバイオエタノールからプロピレンやキシレンなどを生産する技術を開発
旭化成は、「人とくるまのテクノロジー展 2023 横浜」で、バイオエタノールからバイオエチレン、バイオプロピレン、バイオベンゼン、バイオトルエン、バイオキシレンなどを製造する技術の開発を進めていることを発表した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.