AI活用を含め小売業務を効率化、4つの変革をマイクロソフトが提案:NRF 2025
Microsoftは、流通小売業向けイベント「NRF 2025 Retail's Big Show」に出展し、AIアシスタント「Microsoft Copilot」などを含む先進技術の活用による小売業務の4つの変革について提案した。
Microsoft(マイクロソフト)は、流通小売業向けイベント「NRF 2025 Retail's Big Show」(2025年1月12〜14日、米国ニューヨーク Jacob K. Javits Convention Center)に出展し、AIアシスタント「Microsoft Copilot」などを含む先進技術の活用による小売業務の4つの変革について提案した。
リテールメディアで買い物客の体験を変革する
Microsoftは、小売業向けに「Transform the shopper journey(買い物客の旅を変革する)」「Create an agile, sustainable suply chain(俊敏で持続可能なサプライチェーンの構築)」「Empower the retail workforce fo the future(将来の労働力の強化)」「Unlock the potencial of your data(データの可能性を解き放つ)」という4つの方向性で提案を進めている。NRF 2025ではこれらの4つの提案に合わせて、Microsoftが持つテクノロジーやパートナーのソリューションを組み合わせて紹介している。
この「買い物客の旅を変革」に対する取り組みの1つとして紹介したのが、リテールメディアを支援するCoolerXとの協業だ。リテールメディアは店舗のデジタルサイネージやECサイト、アプリなど小売店が展開する媒体のことで、小売業の売り上げ促進などに大きな影響をもたらすとされている。しかし、従来はさまざまな媒体のCMS(Contents Management System)がバラバラで、さらに在庫数の確認など必要情報の把握も別のアプリで行う必要があり、とにかく運用に手間がかかっていた。CoolerXはこれらをまとめてMicrosoft Azure上で動く1つのプラットフォームとして提供できるアプリケーションとそれに伴う関連ソリューションを展開しており、運用を大幅に改善することができる。
このプラットフォームを活用し、冷蔵冷凍棚の扉を置き換えるデジタルサイネージなどを紹介した。扉にはカメラが搭載され、店舗内を歩いていると視点移動に合わせて、表示を次々に変えて宣伝を行い、棚の正面に立つと、扉の中の商品が見えるというような事例なども紹介。複数のコンテンツを組み合わせた複雑なサイネージの仕組みについてもCoolerXの共通プラットフォームであれば行いやすい点などを訴求した。
AI活用で将来の労働力を強化
また「将来の労働力の強化」という点では、棚在庫の監視ソリューションなどを紹介した。これは、SCMプラットフォームのBlue Yonder、電子棚札のVusionGroupとの協業で実現したもので、カメラで棚を撮影しMicrosoft 365 Copilotにより、電子棚札を読み取り、棚在庫のないところや前陳(前出し)されていないものを把握できるようにしたものだ。Blue Yonderの情報を基に、在庫が不足しているものについては、自動で発注などを行うことも可能となり、棚補充業務の負荷軽減や自動化を推進できる。
コールセンター業務をMicrosoft Copilotを使い支援する仕組みなども出展。一時対応をMicrosoft Copilotで行うことも可能だが、コールセンターオペレーターの受け答えの支援を行う仕組みなどを紹介した。コールセンター業務の支援システムでは従来は関連情報を検索などで引き出す仕組みが多かったが、Microsoft Copilotを活用することで背景にある意図や、どういう順番で質問をしていくべきかなど、自然言語のやりとりで精度の高い応答が可能となる。
その他、Unbox Roboticsのロボットと連携し、AIシミュレーションにより、最適な倉庫搬送を実現するソリューションなどを紹介した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- エッジにも浸透する生成AI、組み込み機器に新たな価値をもたらすか
生成AIが登場して2年以上が経過しエッジへの浸透が始まっている。既にプロセッサやマイコンにおいて「エッジAI」はあって当たり前の機能になっているが、「エッジ生成AI」が視野に入りつつあるのだ。 - フランス電子棚札大手が日本市場に熱視線、コンビニ向けソリューション開発も
電子棚札大手のエスイーエス・イマゴタグ(SES-imagotag)は、日本法人の設立を発表するとともに、日本国内を中核としたアジア太平洋地域における事業展開を本格的に開始する方針を打ち出した。 - ソニーとMSのAIラボで老舗食堂発ベンチャーが開発、商品棚監視ソリューション
EBILABは2022年1月6日、ソニーセミコンダクタソリューションズと日本マイクロソフトが設立した「共同イノベーションラボ」のサポートを受けて、「小売業向け棚監視ソリューション」を開発したと発表した。 - ローソンとマイクロソフトが協業、AIとカメラ活用で小売業のDXを推進
日本マイクロソフトは2021年12月2日、小売店舗のDX推進を目的とした取り組みにおいてローソンと協業することを発表した。神奈川県内の4店舗で「店舗運営支援 AI」などを用いた実証実験を、同年11月から2022年3月の期間で実施する。 - 電子棚札大手からリテールIoTソリューションベンダーへ――VusionGroupの戦略
フランスの電子棚札大手であるVusionGroup(ヴジョングループ)。同社は2024年1月にSES-imagotagから社名を変更したがその狙いは何か。日本を含めた欧州域外への事業展開なども含めて、VusionGroup APAC エグゼクティブバイスプレジデントのパスカル・ジェルベール・ガイヤール氏に話を聞いた。 - パナソニック内の実証成果を展開、「SCMのOS」を目指すブルーヨンダーの現在地
パナソニックグループ傘下に入ったSCMソリューションベンダーのブルーヨンダー。次世代プラットフォーム開発など現在の取り組みについて、ブルーヨンダー EVPでCROのコーリー・トレフソン氏と、ブルーヨンダージャパン 代表取締役社長の渡辺大樹氏に話を聞いた。