プラスチックのマテリアルリサイクル技術構築に向けた共同研究を開始:研究開発の最前線
ブリヂストンらは、プラスチックの1種であるポリオレフィンのマテリアルリサイクル技術の構築に向けて共同研究を開始した。不純物が混在するため、壊れやすい再生プラスチックの強靭化を図る。
ブリヂストンは2024年11月29日、プラスチックの1種であるポリオレフィンのマテリアルリサイクル技術の構築に向けて、共同研究を開始したと発表した。東北大学、産業技術総合研究所(産総研)、滋賀県立大学との共同研究となる。
これまでの研究で、廃プラスチックに多く含まれるポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレンなど)の境界面に、ブリヂストンが開発した高分子ESB(高機能性エチレン系熱可塑性エラストマー)を接着させることで、接合性が大きく向上することが確認されている。
今回の共同研究では、ESBによりポリオレフィンの特性がどのように変化するのかを分子レベルで解析し、ESBの分子設計を最適化することで、ポリエチレンとポリプロピレンを用いた再生素材の強靭化を図る。さらには同再生素材の付加価値および品質の向上を目指し、プラスチックの効果的なリサイクルの可能性を模索する。
共同研究における役割分担は、東北大学がポリオレフィンをナノレベルで電子顕微鏡観察し、結合が強靭化する要因を探る。産総研は、ポリオレフィンの界面にESBが接着する原因を分子構造から解析する。
また、滋賀県立大学は、物性の探索として耐久性評価や複数回のリサイクルを検証し、ブリヂストンは新規界面活性剤高分子の合成や触媒設計法の確立を担う。
現在、廃プラスチックは不純物が混在する状態で再生されているが、再生プラスチックは不純物との結合性が弱いため壊れやすく、利用範囲が限られてしまう。プラスチックのリサイクルを加速するため、不純物の混在と高強度を両立する再生技術が求められている。
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