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【総まとめ】CAEと疲労強度計算について振り返るCAEを正しく使い疲労強度計算と有機的につなげる(19)(1/4 ページ)

金属疲労を起こした際にかかる対策コストは膨大なものになる。連載「CAEを正しく使い疲労強度計算と有機的につなげる」では、CAEを正しく使いこなし、その解析結果から疲労破壊の有無を予測するアプローチを解説する。最終回となる連載第19回では、連載の総まとめとしてこれまでの内容を振り返る。

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 最終回となる今回は、本連載の内容を総括して終わりにしたいと思います。ぜひ最後までお付き合いください。

⇒「連載バックナンバー」はこちら

この筆者、めんどくさい

 ここまで、本連載を読んでいただき誠にありがとうございました。変なところにこだわって説明に多くの文字数を割いた回もありました。大変申し訳ありませんでした。本連載は「普段は3D CADを使いながら設計しており、たまに3D CAD付属のCAEソフトで強度計算をしている設計者」を想定してお届けしてきました。設計者が解析専任者に頼ることなく課題を解決できれば、本連載の目的は達成です。

 筆者は“設計者と解析専任者との役割分担は不要”だと考えています。設計が固まらない段階で、「CAE解析結果を設計案に反映する」作業を設計者と解析専任者の2人でやりとりしていては、かなりの時間と労力を要します。やりとりする関係者が2人ならまだましですが、それ以上になると伝言ゲーム状態に陥ります。伝言ゲームが楽しいのは林間学校でキャンプをしているときだけであって、仕事でこれをやると百害あって一利なしです。

 設計者の皆さんは日々忙しくされており、「CAEまでとても手が回らない!」というのが本音かもしれません。しかし、ここは1つステップアップして、CAEに取り組んでいただきたいと思います。何年か後に視点を変えて見てみると、何か良いことがあるかもしれませんよ。

お客さんは僕を許さない

 連載第1回で、1回の荷重で機械の部品が破断した場合と、疲労破断した場合とを比較しました。そのときの比較を表1に再掲します。

100% 1回の荷重で部品が壊れたとき 金属疲労で部品が壊れたとき
不具合発生時期 機械の試運転時 半年後など
不具合発生場所 自社工場内 顧客の工場
機械の所有者 自社 顧客
要求される作業 一晩の夜なべ仕事 現象の再現シミュレーション
ないしは、再現実験
対策案の妥当性を示すシミュレーション
報告書の作成と説明
表1 1回荷重破断と疲労破断の違い

 疲労破断は、だいたい半年以降に発生します。ということは、機械の持ち主は顧客であることがほとんどです。その機械が部品の疲労破断で故障してしまったらどうなるかというと、もし付加価値の高い商品を作っていた場合、「1時間当たりの生産数×商品単価」をベース価格とすると、生産ラインが24時間止まったら「ベース価格×24」の金額が顧客の生産高の減少となり、その損失は大きいものになります。こういうピリピリした状況になると、顧客側もナーバスになり機械に触らせてくれないこともあります。

 生産高が減少するため、最も心配しているのは顧客です。そのため、顧客は単なる修理ではなく、「修理後、故障が再発しないこと」を強く望みます。また同時に「その対策で本当に大丈夫か」という疑念を抱かれることも多く、説明には説得力が求められます。

 その裏付けのために、現象の再現シミュレーションや再現実験、対策案の妥当性を示すシミュレーション作業などが行われます。これらは修理のための部品費とは桁違いにコストがかかります。

 このとき、CAEによる解析が絶対に必要というわけではありませんが、手計算でもよいので疲労破断防止のための設計計算は必ずやるべきです。

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