NVIDIAやTSMCとの協業で加速 最先端半導体設計を支援するAnsysの取り組み:CAEニュース(2/2 ページ)
アンシス・ジャパンは半導体設計向けの最新の取り組みとして、NVIDIAとのAI駆動の半導体設計に関する発表と、これまで進めてきたTSMCとの協業の概要について説明した。
TSMCと推進するシリコンフォトニクス技術に向けた協業
ベイカー氏は、TSMCとの協業についても説明した。
1つ目は、2024年4月に発表されたTSMCのシリコンフォトニクス技術「Compact Universal Photonic Engines」(以下、COUPE)向けマルチフィジックスソフトウェアに関する協業だ。COUPEでは、次世代シリコンフォトニクスおよびCo-Packaged Optics(以下、CPO:同一パッケージ内に半導体と光学部品を実装する方式)の設計を可能にすることを目指し、Ansysのマルチフィジックスソリューションを統合。光入出力シミュレーション向けの「Ansys Zemax」、フォトニックシミュレーション向けの「Ansys Lumerical」、マルチダイパワーインテグリティサインオフ向けのRedHawk-SCおよび「Ansys Totem」、ダイ間の高周波電磁界解析をモデル化する「Ansys RaptorX」、マルチダイヘテロジニアスシステムの熱管理向けのRedHawk-SC Electrothermalが含まれる。
2つ目はAnsys、TSMC、Microsoftの3社で発表した、シリコンフォトニックコンポーネントのシミュレーションと解析の高速化に関する取り組みだ。Azure AIインフラストラクチャ上で動作するNVIDIAアクセラレーテッドコンピューティングを搭載した「NC A100 v4 シリーズ」仮想マシンを介して、Ansysのフォトニクス解析ソフトウェア「Ansys Lumerical FDTD」を10倍以上高速化することに成功という。
ベイカー氏はCPOの課題/難しさについて「3DICの設計は熱や光学など複数の物理問題とスケールが存在しており複雑だ」と述べ、「AnsysはCPOのためのマルチフィジックス/マルチスケールソリューションを提供する。また、アナログ設計側ではCadenceのソリューション、デジタル設計側ではSynopsysのソリューションとも連携している」(ベイカー氏)と強調する。
そして、こうしたTSMCとの協業/共同開発の成果が評価され、TSMCの年次イベント「TSMC 2024 Open Innovation Platform(OIP) Partner of the Year」において、Ansysは4つの賞を受賞したという。
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